草食の時代は、若い世代の消費にも変化が
深澤 前回は、日本の特異性を踏まえながら、欧米化でも儒教的でもない“生き方の第3の道”を探る、若い世代の動きについて考えました。消費にも変化が現れていますよね。

香港在住のジャーナリスト、ノンフィクション作家。日本語、中国語が堪能。1997年、米プリンストン大学卒業後、東京大学留学など経て、98年に英 FT(フィナンシャル・タイムズ)に入社。FT在職の9年間では、日本で自動車など製造業をカバー。FT在職中に休暇を取り、2年ほどかけて中国本土で工場経営の実態を調査する。FTを退社後、中国での調査成果は『THE CHINA PRICE』(The Penguin Press)としてまとめ、2008年春から世界各国で発表され始めた。邦訳版は日経BP社から2008に『中国貧困絶望工場〜「世界の工場」のカラクリ〜』として発売された(写真:花井 智子、以下同)。
ハーニー はい。日本では車や高級時計、ブランド品が売れなくなっていて、このことについても私は記事を書いたのですが、一方で、私が取材で出会った日本の若者は、洋服などいろいろな物を今でもたくさん買っています。使えるお金のすべてをファッションに費やしているくらい。
深澤 バブル期はグッチやヴィトンなどのブランドでなければならなかったのが、今は安いファストファッションでも古着でも、ブランドに関係なく自分の気に入ったものを身につける若者が増えています。例えばユニクロにグッチを合わせたり、というように。ブランドありきでなく、自分の趣味やセンスを補うためのファッションになっています。
ハーニー 注目したいのが、若い人たちが消費者としてまだまだ強い存在感を持っていることです。
不景気で、システムとしての資本主義が問われる中で、消費者の責任、姿勢はますます問われています。何を買うのか、何を基準に商品を選ぶのか。これは選挙と同じで、自分が支持できる商品やサービスに投票しているような気持ちで消費を考えるべきだと思うんですね。
深澤 「消費は選挙である」というのは私も強く思います。
ハーニー 前回、海外に興味のない若者について指摘したのは、消費者としての責任感が欠けてくるのでは? という危惧があったからです。一人前の消費者になるためには、自分の買った服がどこで、どんな環境で作られているのかに目を向ける必要があると思うんです。
ただ、はじめから社会問題に目を向けるのは億劫でしょうから、とりあえずは観光目的でもいいので、海外のことに興味を持って、異文化に触れることを楽しめるようになってほしいと私は思います。
深澤 若い人に取材をしていると、「自分たちはそんなに悪い時代に生まれたんですか?」と聞かれることがありますが、私はあまりそうは思いません。
経済の調子がいい時代というのは、失敗が目立つ時代でもあり、ちょっとした失敗も許されませんでしたが、社会や経済の調子が悪い時には、新しいことや今まで許されなかったことができたり、失敗もわりと許されますからね。
ハーニー おっしゃるとおりです。
深澤 高度経済成長からバブル期は、いい大学を出て、いい企業に入って、いい伴侶を見つけて…という決められたルート以外は幸せと認められにくかったですから。そんな時代と比べると、今の持代は、ある意味では生きやすいのです。
ただこういう時代になると「逆境こそチャンス!」と逆説を唱える人もいるのですが、そこまで頑張るのは大変ですから、そこそこほどほどに生きていければいいと思います。
私自身は、バブル期は本当に生きにくかったので、今のほうがずっと楽ですね。例えばバブル期の日本には、金に飽かせて内装を過剰に派手にしながら、料理が高くてまずい店がたくさんありました。私は食べることが大好きなので、高くてまずいことが本当に腹立たしかったんです。でも、今はコンビニのお弁当すら、そこそこ美味しくなりました。
ハーニー 日本は消費者天国ですよね。コンビニでも100円ショップでも、置いてある商品の品質はある程度保たれています。






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