職場を生き抜け!

2009年11月4日

【第91回】映画「沈まぬ太陽」から学ぶ、職場を生き抜く術(前編)

〜考えさせられる重みのある言葉が映画の中にたくさんある〜

読者からの“タレコミ”

 30代の管理職です。話題のサラリーマン映画「沈まぬ太陽」を観ようと思っています。どこが見所なのかを教えてもらえないでしょうか。

人事ジャーナリストが返信

 映画「沈まぬ太陽」が劇場で公開されました。この映画は、職場を生き抜くうえでのヒントがたくさんつまっていると思います。そこで今回と次回は、「沈まぬ太陽〜職場を生き抜け!編」と称して、この作品に斬り込みます。

 今回は私の体験談も含めて、かなり映画の内容に深く切り込んでいきます。このため、映画のストーリーを追って解説していきます。事前に映画の内容を知りたくないという方は、この点をご了承いただいたうえでお読みください。よろしくお願いいたします。

 この映画の原作は、作家の山崎豊子さんが書いた『沈まぬ太陽 1〜5』(新潮文庫)です。舞台は、日本を代表する航空会社。俳優の渡辺謙さん演じる恩地元は、労働組合委員長として経営陣と衝突をします。

 役員たちは、ストライキをちらつかせて交渉する恩地に「危険分子」というレッテルを貼ります。そして、本人の意思に反して海外勤務(パキスタン)を命じます。社長は「2年間の勤務」と口約束をしながらも、それをあっさりと破ります。その後、海外勤務はイランやケニアと9年間にも及びます。

 恩地は絶望感、孤立感などから心の病に近い状態になったり、家族との関係がぎくしゃくしたりします。しかし、かつて一緒に闘った組合員らが、経営陣から不当な行為を受けていることを知り、闘い抜くことを決めます。そんな中、10年目にようやく帰国する恩地ですが、会社からはさらに冷たい仕打ちを受けます。日陰の部署へ配置され、さしたる仕事もない日々を送ることになります。

 そのような時に、ジャンボ旅客機が墜落し、520人が死亡。航空史上最悪ともいわれる事故で恩地は遺族の「お世話係」という、いわば汚れ役を命じられます。精神的に疲れ切る中、恩地は黙々と仕事をします。

 その姿勢が遺族の心を次第に和らげていき、一定の信頼を得るようになりますが、非情にも会社は更なる追い討ちをかけます…。

といったところが、大まかなストーリーです。

 この作品は有名週刊誌に連載として掲載され、その後、単行本になりました。しかし、映画にすることは様々な制約があり、難しいのではないかと言われてきました。主演俳優の渡辺謙さんは封切りの時、観客を前に涙をこぼしたといいます。きっと、感無量の思いがあったのでしょう。

 私も映画を見て泣きました。この作品が週刊誌に掲載されている頃は、1990年代後半。当時、勤務していた会社の上司らと対立し、退職強要や不当な配置転換を受けました。

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著者プロフィール

吉田 典史(よしだ・のりふみ)
1967年生まれ。大学卒業後、通信社、放送局、出版社で、夜逃げする社長から総理大臣経験者まで、計1200人前後の取材をする。2005年独立以降は、ビジネス書、特に人事・労務分野で取材、執筆、編集を続ける。雑誌「人事マネジメント」(ビジネスパブリッシング社)、「企業と人材」(産労総合研究所)などで執筆中。著者に「すぐに使えるビジネス文書文例400」(成美堂)、「即解!2007年問題 トピック45」(九天社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文館出版)、『非正社員から正社員になる!』(光文社ペーパーバックス)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』などがある。ライターや編集者を志す人が集う「編集の学校・文章の学校」では取材、ライティングを教えている。

このコラムについて

職場を生き抜け!

「夜逃げした社長」から「総理大臣経験者」まで--。これまで計1200人を取材してきたジャーナリストが、読者から寄せられた「職場の悩み」に答えるべく、専門家、企業の人事担当者への取材を敢行する。毎回、マニュアル本では書かれなかった企業人の“本音”“ナマの声”を踏まえた現実の回答を探る。

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