スキルアップ最前線

2009年11月2日

叩かれずに“出る杭”になる流儀 〜日本人が好む「京都型」「農村型」

人生を変えるアピール術【1】

私はこうしてアピールしてきた ― 秦 建日子 氏

30歳目前で勤めていた会社を飛び出した秦建日子さん。1年後にはゴールデンタイムのドラマで脚本家デビューした。ベテランにはない売りで戦い、相手の心理を読み切る究極のアピール戦術を伝授する。

秦 建日子
Takehiko Hata

脚本家、小説家、劇作家

1968年生まれ。90年早稲田大学法学部卒業後、ジェーシービー(JCB)に入社。劇作家のつかこうへい氏と出会い、師事。93年に戯曲家・演出家としてデビュー。97年にJCBを退職。98年に「火曜サスペンス劇場」でゴールデンでの脚本家デビュー。演劇ワークショップ「TAKE1」を主宰し、新人俳優の養成にも取り組む。
(写真:澤田聖司)
秦 建日子さんの主な執筆歴
「HERO」「救命病棟24時」「天体観測」「最後の弁護人」「共犯者」「ラストプレゼント娘と生きる最後の夏」「87%」「ドラゴン桜」「ジョシデカ!」「ホカベン」など。2004年『推理小説』で小説家デビュー。同作は2006年に「アンフェア」のタイトルでテレビドラマ化。同年『チェケラッチョ!!』の小説と映画脚本を執筆。

実力以外で勝負する

 「30歳の壁」は多くのビジネスパーソンにとって大きなものだ。目前に迫ってくると、あれこれ悩む。このまま会社に残るか。飛び出すなら30歳までじゃないか。いや、会社にいながら好きなことをした方が安全だろうか…。

 ジェーシービー(JCB)に勤めていた秦建日子さんは、会社にいながら好きな芝居の活動を続けていくつもりだった。ところが30歳目前のある日、異動を命じられ、その日のうちに辞表を提出した。

 「背中を押された気がした。もし異動にならなかったら、あのまま勤めていて、今でも細々と芝居をやっていたかもしれない」

 食べていけなくなり、一番食べていけそうなテレビドラマの脚本家になろうと決意。ゴールデンタイムでのデビューを果たしたのは、退職からわずか1年後である。短期間での目標達成を可能にしたのは、「実力以外で勝負する」という意外なアピール戦術だ。

 「実力なんかで勝負しちゃいけない」と秦さんは語る。若手が陥りやすい実力主義、勉強好きを根底から覆すアピール法を授ける。

(1) 未経験でも二つ返事で引き受けろ!
 JCBで営業マンをしていた僕は、入社2年目の頃に劇作家のつかこうへいさんと出会い、芝居の手伝いをするようになりました。すぐに戯曲家・演出家としてデビューしました。というのも、つかさんって突飛なことを思いつく方なんです。何の経験もない僕に、いきなり「ドラマを書いてみるか」とか「舞台の演出をしてみるか」とか言う。大抵の人はビビって、「少し考えてもいいですか?」とひるむんですけど、僕はいつも二つ返事で「ハイ」と引き受けていました。「おまえはとにかく返事が早いのがいいね」とつかさんに褒められました。つかさんと出会って20年近く経ちますが、褒められたのはそれ1回きりですね。

 自分ができるか、できないかじゃなく、この人についていって勝負すると決めたのだから、「ハイ」しか言わないと決めていました。そうしないと大きなチャンスは転がってこない気がします。
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(2) 現場でボロカスに言われろ!
 未経験なので当然、出来は悪かった。僕は脚本や演劇の学校に通ったことがありません。でも、お金を払って何かを習うより、現場でお金をもらってボロカスに言われた方が成長のスピードは速いんです。だって、こちらがお金を払うと相手はお世辞の一つも言いますが、相手がお金を払うと「ガッカリだ」「やるべきことはやってもらうぞ」とガンガン言ってきます。どっちが自分を鍛えてくれるかというと、お世辞抜きのダメ出しをしてくれる現場でしょう。
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このコラムについて

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このコラムでは、「日経ビジネスアソシエ」(毎月第1、第3火曜日発売)の最新号から選りすぐりの情報をオンライン用に編集して提供します。

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