草食男子は、世界各国に存在する?!
深澤 前回、ハーニーさんがSlateで書かれた記事に対して、アメリカの広告代理店から「アメリカにも草食男子が登場するのか?」という反応があったと伺いました。経済危機を経て、アメリカでも「男女の生き方が今までと変わるのでは?」という話題は出てきているのでしょうか。

香港在住のジャーナリスト、ノンフィクション作家。日本語、中国語が堪能。1997年、米プリンストン大学卒業後、東京大学留学など経て、98年に英 FT(フィナンシャル・タイムズ)に入社。FT在職の9年間では、日本で自動車など製造業をカバー。FT在職中に休暇を取り、2年ほどかけて中国本土で工場経営の実態を調査する。FTを退社後、中国での調査成果は『THE CHINA PRICE』(The Penguin Press)としてまとめ、2008年春から世界各国で発表され始めた。邦訳版は日経BP社から2008に『中国貧困絶望工場〜「世界の工場」のカラクリ〜』として発売された(写真:花井 智子、以下同)。
ハーニー そうですね。日本のロストジェネレーションについても関心が高いです。深澤さんは、日本の団塊の世代が若い世代に苛立ちを感じていると指摘されていますが、アメリカのおじさんたちも、若い世代を見て「最近の若い奴はだらしない」とよく言っています。日本の草食男子を見れば「似ている」と思うでしょう。
深澤 意外な反応ですね。アメリカでは当初、草食男子についても「また、おかしな日本人が出てきた」という反応だったので、風向きが急に変わった気がします。
ハーニー 私もびっくりしました。
そもそもアメリカのメディアでは、日本をテーマにした記事を書きたくても読者の関心が低いので、実現がなかなか難しいんです。でもSlateの草食男子の記事は、同時期に掲載されたオバマやイラン関連の記事より人気があって、かなり読まれました。
深澤 私が取材を受けたCNNワールドニュースのウェブのアクセス数も、1位でした。各国語のyahoo!で「herbivorous boy(草食男子)」で検索すれば、何かしらの記事がヒットするような状況だそうです。
ハーニー 『草食男子世代』もぜひ英訳を出してほしいです。
深澤 この本は、社会背景を説明するのが大変なんです。アメリカの文化なら、世界中の人がある程度は知っていますよね。でも、日本についてきちんと知っている人は少なく、日本の現代の文化についての注釈がたくさん必要になるでしょう。
日本がバブル期から現在までに経験したことは、他の先進国が経験したことのないことです。敗戦で“三流国”に転落した国が、頑張って“一流国”にのしあがったのに、ここに来てゆるやかに転落し始めているということが、草食男子が産まれた背景です。ですから、そこをきちんと説明しないといけませんね。
ハーニー 確かに、日本の背景を説明するのは難しいでしょう。でも実現できたら面白いと思います。
深澤 例えば、日本のバブル期に女性が多様な生き方を手に入れたことは、世界的にはほとんど知られていませんから、「バブル期にオヤジギャルが生まれて…」と話す時も、「オヤジギャルって何?」というところから説明を始めなければいけないんです。
ハーニー なるほど。私はいわゆる親日家ですが、なぜ日本に住んでいないかというと、そういう日本社会の動きを客観的に見られるようにしておきたいからという理由もあります。
オヤジギャルも、日本に住んでしまうとその現象の不思議さに気づきにくいですが、外から見ていると「これは日本特有のものだ」と引っかかる、というか。日本の文化を勉強している私が、外から観察することで初めて見えてくる日本社会の面白さは、必ずあると思っています。



1967年東京生まれ。早稲田大学第二文学部社会専修卒業。いくつかの出版社で編集者を務めた後、1998年、企画会社タクト・プランニングを設立、代表取締役に就任。書籍・雑誌・ウェブのプロデュースや、作家のマネジメントを行う。また若者、女性、食、旅などのテーマで企画や執筆、講演も精力的に行う。









