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深澤真紀の草食の時代

「中国貧困工場」と草食男子をつなぐもの

アレクサンドラ・ハーニー×深澤真紀【1】

Associe

 「草食の時代」は今回から3回にわたって、香港在住のアメリカ人ジャーナリスト、アレクサンドラ・ハーニーさんとの対談をお届けします。
 ハーニーさんは、『中国貧困絶望工場「世界の工場」のカラクリ』(日経BP社、原題“THE CHINA PRICE”)で「メイド・イン・チャイナ」の苛酷な現実を世間に知らしめました。
 日本の今を象徴する草食男子(初出記事はこちら)を見つけ出した深澤真紀とハーニーさんが、現代社会に何を見ているかを語り合います。

「メイド・イン・チャイナ」のからくり

深澤 ハーニーさんは香港在住のアメリカ人ジャーナリストで、フィナンシャルタイムズの日本支社でも記者のご経験があるのですよね。

ハーニー ええ。記者になるまで中谷元さんの議員事務所で秘書をやっていましたが、98年からフィナンシャルタイムズに入って約4年、日本で記者をやり、その後ロンドン、香港と転勤しました。

アレクサンドラ・ハーニーさん
香港在住のジャーナリスト、ノンフィクション作家。日本語、中国語が堪能。1997年、米プリンストン大学卒業後、東京大学留学など経て、98年に英FT(フィナンシャル・タイムズ)に入社。FT在職の9年間では、日本で自動車など製造業をカバー。FT在職中に休暇を取り、2年ほどかけて中国本土で工場経営の実態を調査する。FTを退社後、中国での調査成果は『THE CHINA PRICE』(The Penguin Press)としてまとめ、2008年春から世界各国で発表され始めた。邦訳版は日経BP社から2008に『中国貧困絶望工場〜「世界の工場」のカラクリ〜』として発売された(写真:花井 智子、以下同)。

 日本に初めて来たのは15歳の時。ジャーナリストの父から「いい大学に行くなら語学を勉強しなさい」と言われ、フランス語のほかに日本語も勉強しようと、奨学金で日本に短期留学しました。

 それから毎年のように日本に来て、高校時代は日本語漬け。ずっと日本が好きで、いつか住んでみたいと思っていました。

深澤 お料理も和食がお得意なんですよね。

ハーニー 今はあまり作りませんけれど。日本の料理学校に通ったり、生け花を習ったこともあります。

深澤 ハーニーさんと言えば“THE CHINA PRICE”(邦題『中国貧困絶望工場』が代表作で、私もこの本でハーニーさんを知りました。世界中の商品が安くなった理由が中国の低賃金の工場にあることを暴いた、「女工哀史」的なドキュメンタリーです。このテーマに関わったのは、中国の工場で働く女工さんに興味を持ったのがきっかけでしたよね。

ハーニー そうです。

深澤 低賃金で働く人々の存在は中国だけの問題ではなく、世界中が中国に安いコストの負担を押し付けている結果と考えれば、それは世界の問題であり、自分自身の問題でもあると考えるようになられたんですね。今後中国の低賃金労働者が現状から脱することがあっても、その次には世界のどこかで同じような立場の人が生まれます。

 そもそも中国がこうなる前は日本が低賃金労働を強いられ、中国の後にもミャンマー、ラオスと、現象は移動しても問題は続くのかもしれません。ハーニーさんが中国に特に興味を持たれたのはどんな理由ですか。

ハーニー 日本で記者をしていた時、ホンダの広州工場に取材に行く機会があり、そこで初めて中国の工場を見ました。

 「中国でも品質の高い日本車が作れる」「しかも低コスト低賃金で」というのが印象的で、同時に「中国語を勉強しなければ」と思いました。現状を目の当たりにして、中国が経済的にも政治的にもアメリカより強い国になるという確信が芽生えたからです

 中国への転勤を希望しましたが叶わず、ロンドンに派遣され中国語の勉強を積み、2004年にようやく中国の南部担当になりました。そこで初めて服飾工場の取材に行き、出稼ぎ労働者と話をすることができました。

 低賃金で働く彼らとの会話は衝撃的でした。彼らは自分をある意味で犠牲にしながら、洋服や電気機器、車などを、先進国で暮らす人々のために作っている。それもとても安い賃金で。その現実をどうしても伝えたくて取材を重ねました。フルタイムで2年間を取材に費やしましたので、すごく貧乏になりました(笑)。

変わりつつあるアメリカ主導の消費社会

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