- Q
- 緊張のあまり、顔が赤く染まり声が震えてしまいます
(29歳男性)
人生の勝利者とは己のコンプレックスを武器に変えられた人間だ
シマジ 29歳の相談者よ、君はどもる苦しさを知るまい。俺はどもりなんだ。頭に浮かんだ素敵な表現が、音になってくれないんだ。これは辛いぞ。ちゃんと言葉が出てくるんだから、声が震えたり、顔が赤くなったりするくらい何でもない。顔を真っ赤にして一生懸命しゃべれば、優しい正直者に見える。世渡りに便利なくらいだ。
こうしたコンプレックスは多かれ少なかれ必ず誰にでもある。そして、人生の勝利者というのは己のコンプレックスを武器に変えられた人間だ。
アソシエ シマジさんはどんなふうに武器にしているのですか。
シマジ 女と食事をするだろ。ずっと口説いていって最後にこう締めくくる。
「お、俺が、きっ、君をどれくらい素敵だと思っているか、も、もっともっと君に知ってもらいたい。伝えたい言葉は頭の中に渦巻いているんだが、それが、し、舌の上で死んでいくんだ。ざ、残念でならないよ」
これで何人もの女が落ちた。
アソシエ そこまで行くと武器というより凶器ですね。
シマジ インタビュアーとしても、どもることは強みなんだ。俺がどもりながら話すだろ。そうするとインタビューを受ける側は安心する。特にインタビュー慣れしていない人は、うまく自分の思いを伝えられるだろうかという不安を抱えているから、インタビュアーに立て板に水のごとく話されると圧倒され萎縮してしまう。俺のようにつっかえながら訊いてくる相手だと、上手に話さなければというプレッシャーから解放されて、気楽に話せるようになるらしい。



1941年生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。「週刊プレイボーイ」の編集長として同誌を100万部雑誌に育て上げる。その後、「PLAYBOY」編集長、「Bart」創刊編集長などを務める。柴田錬三郎、今東光、開高健、瀬戸内寂聴、塩野七生、荒木経惟をはじめとする錚々たる面々と画期的な仕事を重ねてきた伝説の編集者。2008年11月集英社インターナショナル社長を退き現在はコラムニスト。シガーとシングルモルトとゴルフをこよなく愛する。「人生は冥土までの暇つぶし」だと思っている。










