週刊「面白法人カヤック」

2009年8月31日

【10】マルチタスクをこなせる人、こなせない人

 「時間は有限であると常に意識して動く」ということは本当に大切なので、もう少し解説したいと思います。 

 僕が「1時間で終わらす」と宣言するのではなく「1時間“以内”で終わらす」と宣言するのは、理由があります。これはもしかしたら、1時間もかけずに終わることもあるからです。アイデアを出す会議の中には、開始から10分で良い案が出る時があります。その場合は、会議時間の残りがあってもさっさと終える。そういった柔軟性が重要です。(もちろん、そのためには、開始10分で出た案がとても良い案だと判断がつくだけの感性と自信がなければ成立しないのですが…)。

 それを「1時間で終わらす」と言っていると、結論が出ているのに無駄に1時間やり続けることにもなりかねません。どうしたらいいかはケースバイケースですが、そういった微妙な言い回し一つとっても結果は違ってきます。

 ベストセラー『地頭力を鍛える』の著者細谷功氏は、このようなことを言っています。

 あなたの時間に対する感度を上げなさい。時間の重要さをだれにも負けないほど認識し、限られた時間を最大限に活用する意識をもちなさい。

 実は、人の金銭感覚よりもこの時間感覚のほうが、はるかに個人差がある気がします。時間は万人に平等に与えられますが、お金は生まれや運や努力で絶対に量が変化します。しかしながら、何か最終目的を達成するための手段がお金と時間です。でも、両者が重要なのにもかかわらず、だめな人に限って時間をお金ほど大切にしていない。

 若いうちから大きな夢を持って実現のための計画をたてている人は、夢を実現するためにやるべきことが多い。つまり相対的に他の人よりも「時間がない」わけです。したがって、彼らの「時間感覚」は若いうちから研ぎ澄まされています。「若いころから夢をもっている人の方が大きなことを達成できる」というのは理にかなっている。人生の時間の大切さに早く気がついた者が勝ちです。夢をかなえた人は、例外なく時間を大切にしてきた人たちです。

どうでしょうか。あなたは時間を大切にしているでしょうか。
 
 仕事をしていると時々、「もっと時間があればいいものが作れたのに…」と言う人がいます。僕もプロジェクトの締め切り間際になると、決まってせめてあと2日もらえれば(あと2日早く手をつけていれば)もっと良くなるのにと思います。あまりにも毎度のことなので、自分に情けなくなりますが、でも結局、「十分時間があった」と感じることなんて、きっとこの先もないとも思っています。

 つまり、時間があったらあったでいくらでもやりたいことが出てくる。成長を続けている限り、どれだけ時間があったとしても結局終わってみたら「もっと時間があれば…」となるというわけです。だから、いつまで経っても自分の仕事を自己採点すると、いつも100点満点中の60点とか80点になってしまうのではないのかなと。

 でも、視点を変えれば、毎回80点だとしても、以前よりもハードルが上がったうえでの点数と考えれば、その時の80点は前回の100点以上の価値があったりします。あるいは、自分の80点が、ほかの人の100点以上の結果になっていることも。

 そのように成長していける人間になればいい。そういう気概で仕事をしていけばいい。なので、仕事を引き受けた以上は、時間がないことを言い訳にするべきではないと思うのです。

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著者プロフィール

柳澤 大輔(やなさわ・だいすけ)
面白法人カヤック代表取締役。1998年、学生時代の友人と共に面白法人カヤックを設立。「ART-Meter」「HOUSECO」「こえ部」など、ユーザー数千〜数万人規模のインターネットサービスを幅広く展開する。ユニークな人事制度(サイコロ給、スマイル給)や、ワークスタイル(旅する支社)など、制度面も現在実験中。近年では、ギャラリー「ART-Meter」、カフェ「DONBURI CAFE DINING bowls」などリアルショップを運営。2009年、ビンボーゆすりを科学したプロダクト「YUREX」を開発。

このコラムについて

週刊「面白法人カヤック」

サイコロ給やスマイル給など、ユニークな制度を多数取り入れている面白法人カヤック。その代表、柳澤大輔さんが、日々考えていること、実験したこと、失敗したことなどを本音で綴ります。ビジネスの世界で役に立つ知恵や工夫が満載です。

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