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潜在“脳力”を活かす仕事術ビジネス

潜在“脳力”:【33】良い経験は子供にも“遺伝”する(1/2ページ)

2009.08.17

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 「遺伝」とは、遺伝子が媒介するものであって、例えば、親が個人的に経験したことは子孫に遺伝しないというのが常識だろう。

 ところが、この常識を覆す衝撃的な実験データが報告された。米タフツ大学のフェイグ博士らの研究である。なんと、母親が若い頃に良い経験をすると、その良い影響が子供に“遺伝”するというのだ。あくまでもネズミの実験ではあるが、フェイグ博士ら自身も、同論文に「似た現象がヒトでも生じるとしたら」と想像を膨らませているほど、思わず考えさせられてしまう実験である。

 遺伝子コードが変化するわけではないが、染色体やDNAが後天的に「化学修飾」を受けて遺伝子機能が変化することを「エピジェネティクス」という。

 エピジェネティクスは今、生命科学界で流行の研究対象で、かくいう私自身も、今年3月に行われた日本薬理学会年会でエピジェネティクスに関するシンポジウムを主催している。フェイグ博士らの発見もエピジェネティクスを巡る話題である。驚くべきは、その影響が後天的であるにとどまらず、子供の世代にまで及ぶことである。

たった2週間の「良い経験」で効果は一生続く

 ネズミを回り車やトンネルなどの置かれた豊かな環境で育てると、遊びのない閑散とした環境で育ったネズミよりも、迷路を解く能力が高くなることが知られている。これは海馬の機能が向上することが理由であるとされている。

 フェイグ博士は、まずこの現象を再確認する実験から開始している。海馬の機能はシナプス伝達の増強現象を測定することで評価している。

 面白いことに、海馬機能が増強するためには、ずっと豊かな環境で育て続ける必要はなく、生後2週目から4週目のわずか2週間のみ豊かな環境に入れただけで、海馬の機能が十分に高まり、しかもこの効果がその後一生持続することを見出している。ちなみに、ネズミでいう生後2~4週目とは、ヒトで言えばおよそ思春期に相当すると考えてよいだろう。

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