ビジネスの場では仕事の能力が問われる。その分、他人と自分との能力の差を痛感させられることも多い。優越感や劣等感といった問題は若い人の特有の問題ではない。中年以降でも能力差を知るがゆえの「嫉妬」という感情もあり、意外と克服しがたい。
「劣等感」や「嫉妬」を持つ自分を恥じたり、ポジティブ(肯定的)に物事を考えようとするなど、能力の差を否定的に考えないようにする方法は人それぞれだろう。私の場合は、自分の心の中にルーチンのように問い掛けることがある。ご参考になるかもしれないので3点に分けて紹介する。
1 「劣等感」「嫉妬」を成立させている「枠」はなんだろうか?
劣等感は比較から生じる。だから比較しなければ劣等感は生じないとも言える。だが、感情は通常、思考に先立って発生する。じっくり比較検討した結果、劣等感を持つようになるといったものではない。
否定的な感情が自然にやってきたら、まずそのまま受け止め、その後否定的な感情を成立させている「枠」を考えてみる。
能力の差は比較から生じるとしても、比較対象は必ず限定された「枠」の中にある。感情を刺激する人間関係の「枠」を再考すると、意外に小さいことに気がつく。「枠」が小さいから感情的な問題を起こしているとも言える。
例えば、部署という「枠」で見ると、自分より能力があり、好成績を挙げている人間が仮に1人しかいないとする。しかし、会社の「枠」で見れば10人以上はいるだろう。社会全体で見るなら100人、1000人といるはずだ。
社会に自分より優れた人がたくさんいるからといって、劣等感を感じたり嫉妬したりする人はまずいない。問題は能力の比較ではなく、比較を成立させている「枠」の認識にある。
自分の感情を問題に縛り付けている「枠」が意識できると、劣等感や嫉妬という否定的な感情は自然に不合理なものとして静まってくる。あるいは、「枠」が問題なら、「枠」を出るか、「枠」を単一化させずに、複数にして相対化するとよい。
具体的には、能力の問題に悩むより、その能力を少しでも伸ばすために社外の勉強会に積極的に参加するなどしたらよいだろう。



テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。1990年前半友人と翻訳・テクニカルライティング事務所を経営。1994年末、インターネットによる遠隔地業務可能に合わせフリーランスとなり沖縄に移住。2002年東京に戻り現在に至る。「日経クリック」(現在休刊中)で10年間Q&Aを担当。日経トレンディネット









