「ITmedia News」の岡田有花記者に注目
最後に「残念論争」がもたらした影響についてこれから何が起こるかを勝手に予想する。私は梅田氏にインタビューを行い、記事をまとめた「ITmedia News」の岡田有花記者に注目したい。彼女の立ち位置を言うと「ネットが爆発的に普及する前から、『オレ達』の側でネットの楽しさ・可能性を説いてきて、ネットユーザーを楽しませてくれた女IT戦士」であり「クリスマスに一人ぼっちで過ごす僕らの味方・ユカタン」である。
梅田氏へのインタビュー記事に関する論調は、岡田氏への「よくやった」「ユカタンの勝利」といったこれまた単純な賞賛が多い。時に「意地悪」「釣ったな」などと言われることはあれど、これでも「さすがは岡田記者」となっている。「悪意がある」の感想で終わった人は岡田氏のことを知らない人だろう。ここで分かることは、要するに人々はただ「自分の味方」が欲しいだけ、ということだ。ネットの可能性を高らかに宣言していた頃の梅田氏は「オレ達の味方」だったが、昨年のTwitter発言、そして今回の「残念発言」によってもはや味方ではなくなった。そこで俄然クローズアップをされているのが「裏切り者・梅田望夫の化けの皮を剥いだ岡田記者」ということだ。
彼女は『ネットで人生、変わりましたか?』(ソフトバンク クリエイティブ)という本を出し、現在でもIT業界の取材を多数しているネット論壇における最先端の人物の一人だ。その人気を決定的にしたのが、「やっぱりキミは来なかった 『線メリ』と過ごすひとりきりのXmas」という2003年クリスマスイブを一人で過ごしたことを報告した記事である。これがモテない男性の心をわしづかみにし、以後、岡田氏はイブをいかにしてITと一緒に過ごし、一人でも寂しい思いをすることなく過ごせるかをジョークと自虐を交えて書いてきた。
この7年間、岡田氏はネットの中での立ち位置を強固なものにしてきた。だからこそ、岡田氏は仮にそう思ったとしても、今後自らの口で「ネットは残念」などと言うことは職業を変えぬ限りは難しいだろう。人々からの期待値が高過ぎる彼女にとって、もはやネットは自由な空間ではなくなっている。
「ネット論壇」や「ブログ論壇」などと言われているが、多分、真実は単に「ネット人気者コミュ」*である。「ネット人気者デビュー」してしまった梅田氏が「残念」と言って「僕達」を裏切って「一抜け」した後、人々はその言葉を引き出した同じくネット人気者デビュー済みの岡田氏賞賛に回る。
*コミュ=コミュニティー
だが、仮に岡田氏が今後人々の意に反する行為・発言をした場合、手のひら返しをされ、今回の梅田氏と同様にバッシングの対象となる。その「意に反する行為・発言」とは、例えば「もうバカと暇人の期待に応えるのが辛くなった」という直接的な批判だけでなく、「彼氏ができたので今年のクリスマス連載はやめる」でもそうだ。これまで「モテないキャラ」を貫き通してきたが故に、ネットの人々は「裏切られた!」と思い、「どうせすぐに別れる」や「嘘つき」などの罵詈雑言を浴びせることだろう。そしてある程度叩き終わると彼らは再び別の「人気者」に乗り換え、その人にすがるのだ。













