佐藤信正の「すぐ効く仕事のコツ」

脳の反応時間を上手に使いこなす「60秒・90秒・10分ルール」 (2/2ページ目)

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90秒ルール
 90秒ルールは脳生理の経験から言われているものだ。脳内の感情的な反応は90秒でいったん収束することを基にしている。驚きや、突然の不安感、恐怖感といった感情的な反応が脳に起きると、その興奮が収束するまでに90秒かかる。

 その90秒の間、慌てふためいたり、自分でパニックを深めるような行動をせず、じっと脳の興奮が収まるのを待てば、その後より理性的な対応が可能になる。非理性的な対応を90秒以上に引き延ばすことを抑制する利点もある。

 思いがけないとっさの出来事や、話の途中で感情的なパニックに襲われたら、「とにかく90秒待て」ということができるとよい。その間を取るために、ちょっとした演出も考慮しよう。何気なく席を外したり、軽い咳ばらいをしたりといったような、ちょっとした間を取る動作なども自然にできるようにしておくとよい。

 嘘を演じろというのでも、自分の心情を偽れというのではない。脳の生理的な反応に巻き込まれないような対応を心がけておくとよいということだ。

10分ルール
 10分ルールは、理性的に配慮して安全な状態なら、10分じっと耐えるとその環境や行動に脳が順応するということだ。自分の弱点だと思い込んでいた性質が、意外と10分ルールで解消することもある。

 必ずしも高所恐怖症の人すべてに当てはまるわけではないが、高いところにいて怖いと感じる場合、理性的に安全だと認識できたなら、そこでじっと10分ほどその環境で我慢してみる。そうすると、脳がその環境に慣れ、恐怖心が軽減される。

 また、やってできないことはないが、どうしても特定の作業の前に気が重くなるといった場合、自分があたかも他人になったかのように、10分間だけ淡々とその作業をやってみる。すると10分後にはそれほど負担に思えずにさらに継続できるようになることがある。

 自分以外の人にも応用できる。自分が率いるチームにどうも馬が合わないメンバーがいるなら、適当に口実をつけ、比較的狭い場所で10分ほど静かに待たせておいたり、簡単で無言でできる共同作業をさせてみると、それなりに両者がなじむきっかけになる。

 10分ルールは、脳の思い込みを打ち破る、よい意味での惰性感を形成することだ。脳の思い込みに反例となる現実を提示するのには、そのくらいの時間がかかる。

佐藤 信正(さとう・のぶまさ)
佐藤 信正 テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。1990年前半友人と翻訳・テクニカルライティング事務所を経営。1994年末、インターネットによる遠隔地業務可能に合わせフリーランスとなり沖縄に移住。2002年東京に戻り現在に至る。「日経クリック」(現在休刊中)で10年間Q&Aを担当。日経トレンディネットネットで起きてる最新トレンド、およびGoogle調査隊のコラムを執筆中。著書、『ブラウザのしくみ』(技術評論社)、『Ajax実用テクニック』(ナツメ社)など。

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