佐藤は大学や幼稚園など、教育機関のブランディングにも力を入れて取り組んでいる。きっかけは、博報堂からの独立に際して、自分でオフィスのデザインを手がけたことだった。
「独立した時に劇的に仕事の内容が変化したわけではないのに、自分でインテリアデザインなどもやって環境を整えたら、ものの見方が代わり、モチベーションが高まった。環境がこんなにも大きな影響を人に与えるものだということを実感した」
デザインしていないところの方が多い
そして佐藤は、「教育とか医療とか、デザインの力がまだまだ及んでいない分野がたくさんある」ことに気付く。それまで広告代理店に仕事を発注するような一般企業しか、自分の仕事の対象としては見ていなかった。
デザインの力を、デザインによるコミュニケーションの力を学校や病院に取り入れたら、もっと学びやすく、快適に治療を受けられる環境を作れるのではないか。こう考えた佐藤はNHKの「トップランナー」という番組に出演した時に、幼稚園のデザインを手がけてみたいという話をする。
反響はすぐにあった。早くも放送翌日に幼稚園のプロデュースを手がける企業から佐藤のところに連絡が入った。「新しい幼児教育の可能性を探れるようなプロジェクトがあれば、是非参加したい」という話をし、1年ほど経ったころに佐藤のところに「ふじようちえん」の話が持ち込まれた。
老朽化した園舎を立て直すに当たり、複数の業者からプレゼンを受けたがどうしても気に入る案がなく、首を立てに振らなかった加藤積一園長から、佐藤はまず半年かけていろんな夢を聞き出した。
「お話を伺うとすごく面白いことをいっぱい考えていらっしゃった。幼稚園というカテゴリーに囚われることなく、いろんなことができる場が欲しいと。それから日本中の幼稚園を見てまわったが、見た目はきれいにできていて、いろんな遊具がその中にあるんだけれども、その遊具を取り去ってしまうと小学校だか高校だか分からなくなってしまうようなものばかりだった」
この体験を経て佐藤が導き出したのが、園舎自体が「巨大な遊具」というコンセプトだ。古いふじようちえんに小さなツリーハウスがあった。その中に入ってみると自分が幼稚園児に戻ったような楽しさを感じることができた。巨大な遊具という発想は、その瞬間にぱっと浮かんできた。


「ふじようちえん」のデザインコンセプトは「巨大な遊具」。園舎自体が多様な遊びと学びの場であり、一番のエンターテインメントの場となっている。建築設計は手塚建築研究所の手塚貴晴・由比夫妻が担当した。佐藤はロゴマーク、オリジナルフォント、WEBサイト、園服のデザインまで手がけている






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