3回にわたって、「ルール・マネジメント」の原則や具体的な方法論について解説してきました。
連載16回目で述べた通り、ルールは「リーダーの意図を伝える絶好のメディア」であり、リーダーは、ルールを上手にマネジメントすることによって、組織の成果を高めることができます。
しかし一方で、ルールにはデメリットやリスクも存在します。ルールには「宿命的な限界」があるのです。
今回はこのような、ルールに隠されている3つの宿命的な限界(「不透明性」「非効率性」「硬直性」)について詳しくお話していきます。ルール・マネジメントにおける注意事項として、ぜひ参考にしてほしいと思います。
ルールの宿命的限界(1):不透明性
ルールには、どんなに詳細に定めても、現実に起こりうるあらゆる事態が決して「透明」にはなることはないという、「不透明性」があります。
「こういう場合はこうだ」という具合に、ルールでいくら詳細に決めたとしても、限界が出てくるのです。
アメリカで実際に起きた出来事を例にとって説明します。飼い猫を乾かそうとして電子レンジに入れて死なせてしまった飼い主が、電子レンジメーカーを訴えたという話があります。「取り扱い説明書には、電子レンジに猫を入れてはいけないという明記がなかった」というのが理由です。
それを受けて、このメーカーがそれ以後、取扱説明書に「猫を電子レンジに入れてはいけません」と明記したとしましょう。すると、「犬ならいいのか」「ネズミはいいのか」という話になってしまいます。
では、「動物を入れるな」と明記した場合はどうでしょうか。今度は「豚肉や牛肉など食用の動物はどうなるのか」という問題が出てきます。
つまり、想定不可能な未来について、あらかじめ完璧に規定しておくことには限界があるのです。
組織内のルールに関しても同じことが言えます。「役割」や「報酬」などの諸ルールで、「組織が完全に透明になる状態」を作ることはできません。役割ルールについて考えてみても、起こりうるあらゆる事態を想定して、個々のメンバーに求めるすべての行動をあらかじめ書き出しておくことは不可能です。
このように、ルールにはどんなに細かく定めたとしても、不透明性を完全には排除できないという宿命があるのです。






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