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トップクリエーターの仕事術

佐藤可士和【2】何も変えない。余計なものを整理し再構築する

Associe

 佐藤がブランディングを行う際には、まず手がける対象を客観的な立ち位置から捉え、問題点を明らかにするところから始めるのは前回述べたとおりだ。

 ユニクロのグローバル展開に際して柳井会長兼社長からクリエイティブディレクションを頼まれた佐藤は、「フリースの大ヒットなどによってブランドの認知が進んでしまったがゆえに、逆に柳井氏がユニクロを立ち上げた当時のユニークさというものが埋もれてしまい、焦点がぼやけてしまっていた」とユニクロの現状を分析した。

甘くなったピントを、もう一度合わせる

 ユニクロが最初に海外の旗艦店を出す場所として選んだのは、カジュアルファッションのメッカである、ニューヨーク。ユニクロに類似したコンセプトのブランドも数多く存在するほか、安い価格帯のブランドもあり、価格優位性では戦えない。「ユニクロというブランドの強みは何か、もう一度本質に立ち戻り、それを磨き上げること」。それが柳井氏とともに出した結論だった。

ユニクロの海外展開の第1号となったニューヨーク・ソーホーの旗艦店

ユニクロの海外展開の第1号となったニューヨーク・ソーホーの旗艦店。高品質の象徴である「Made in Japan」と、海外でも人気が高い日本のポップカルチャーを意識し、カタカナのロゴを作った

 「ユニクロの本質は合理性。合理性を突き詰めているから高品質なものを手ごろな値段で提供できる。そして、ベーシックなファッション・パーツとしてのアイテムがたくさん揃っているうえに、常に改良されて完成度が上がっている」。もともとユニクロが持っていたこの性格を、もう一度際立たせる。パーツを自由に組み合わせて楽しむことをエンターテインメントとして打ち出す、という課題が佐藤に課せられた。

 さらに、海外展開を意識して強調したのは、高品質の象徴としての「Made in Japan」という価値だ。そこで、当時はエンジだったロゴの色を、当初の赤に戻した。そして、日本のポップカルチャーの象徴として海外でも人気が高いカタカナのロゴを作り、日本のブランドとしてのビジュアルアイデンティティーをしっかりと定着させることに意を注いだ。

 ユニクロのクリエイティブディレクションを佐藤は、「少しぼやけていたピントを、もう一度ぴしっと合わせる作業」だと言う。「何も変えていないけれど、一度余計なものを整理してコミュニケーションを再構築した」。

「U-T」

ユニクロの本質をもう一度突き詰めて考えていく中で、「U-T」というサブブランドが生まれた。単品を際立たせるブランド戦略は、世界戦略の一環でもある。(写真:Nacasa&Partners)

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