モーツアルトを聴くと頭がよくなるという「モーツアルト効果」が世界的に話題になったことがある。聴くだけで頭が良くなるということがあるだろうか。聴覚の訓練を兼ねて、1週間ほど簡単なサウンド・トレーニングをしてみた。頭が良くなったかどうか分からないが、聴覚の向上では実感できる効果があった。
「モーツアルト効果」のほうは、「のだめカンタービレ」でも有名な「2台のピアノのためのソナタ(K448)」を使った研究がある。結果、弱い効果はあるかもしれないとする英国王立医学協会の研究(英文)がある。反面、モーツアルトの曲全般にそうした効果はないとする比較的最新のドイツ政府の公式見解報道(英文)もある。効果の有無は別としてもモーツアルトの名曲を聴くのは心地よいものだ。

「聴脳エクササイズ」
サウンド・トレーニングの方は、音楽による効果ではない。もっと脳機能に即したものだ。試したのは『聴くだけで頭がよくなる 音のCDブック 脳幹を刺激し集中力を高める驚異の音源』とその拡張版の「聴脳エクササイズ」だ。
CDブックに収録されている訓練は2つだけ。両方合わせても3分弱。1つはイヤホンで聴くと左右を駆け巡るように聞こえるハープの音だ。これを注意して空間的に聞き分ける。左右の音の動きを追うことで脳が活性化されるらしい。
同書には、子どもを対象とした脳血流の活性の結果が掲載されている。もう1つは赤ちゃんの声を含め、多様な音源が移動しつつ聞こえるというもの。聴覚的なイマジネーションを養う狙いもある。
CDブックにはこれに4分間のクイズと4分間のリラックス音が含まれている。全体としては物足りない。「聴脳エクササイズ」は、CDブックの音源に各種の音源を加えて47分が収録されている。私はこの中から、自分に合いそうなものを20分ほど抜き出し、iPodで2週間ほど聴いてみた。
頭が良くなったか分からないが、環境音の聞き分け能力は確実に上がった。耳を覆っていた薄い膜が外れたような感じがする。音に対する集中力も上がったようだ。気力が若返るような体調の微妙な変化も感じられた。
聴覚が変わったならと思い、「ジョー奥田によるバイノーラル録音の自然音源」も聴いてみた。やはり以前よりクリアに聞こえる。バイノーラル録音とは、人間の耳を模した装置で録音した音声で、イヤホンやヘッドホンで再生すると左右の音の広がりがクリアに聞こえる。
恐らく、バイノーラル録音やさらにそれを高度にした「ホロフォニックの音源」でも、注意して使えば聴覚の訓練になるだろう。
テクニカルライター。1957年東京生まれ。国際基督教大学卒業後、同大学院で言語学を学ぶ。1990年前半友人と翻訳・テクニカルライティング事務所を経営。1994年末、インターネットによる遠隔地業務可能に合わせフリーランスとなり沖縄に移住。2002年東京に戻り現在に至る。「日経クリック」(現在休刊中)で10年間Q&Aを担当。日経トレンディネットネットで起きてる最新トレンド、およびGoogle調査隊のコラムを執筆中。著書、『ブラウザのしくみ』(技術評論社)、『Ajax実用テクニック』(ナツメ社)など。






