日常生活の中に潜んでいる小さな「気付き」を拾い集め、そこからアイデアを取り出し、デザインに落とし込んでいくのがサトウのやり方だ。そのスタンスは、携帯電話をデザインする時も、企業に依頼されてミラノサローネで展示ブースのデザインを行う時も、商業空間や個人住宅をデザインする時も変わらない。
デザイナーの言葉は伝わりにくい
仕事を進める際にはまずクライアントの要求を十分にヒアリングし、咀嚼(そしゃく)した上で自分のアイデアを明確に相手に伝える努力をする。どんなプロジェクトを進める時でもそこに関わる人間が最終的な目標やイメージを共有し、それに向かってともに進んでいかなければ、魅力的なものはできない。だが、「デザイナーがしゃべっている言葉は自分が考えている以上に相手に伝わりにくいのではないか」とサトウは考えている。
だから、どういう言葉を使うか、どういう説明をするかについてはとても細かいところまで配慮する。そして、「視点をいろいろ変化させながら考えて、最後に説明するときは相手と同じ目線、もしくは少し下の目線からきちんと話をする」ことを心がけている。
イメージ共有の手段としてサトウがいつも用いるのが、手描きのアイデアスケッチだ。「このスケッチがシンプルなほどプロジェクトはうまくいく」とサトウは笑う。スケッチが複雑になるのは、それだけその製品に語らせようとしているストーリーが分かりにくいか、余分な要素を持ち込んでいることを意味する。最終製品になった時に、それを敏感にユーザーは見抜き、自分には合わないと判断し、その製品を選ばない。
diamond chairのアイデアスケッチ
ダイヤモンドの分子構造に着想を得てデザインした「diamond chair」。ラピッドプロトタイピングの技術を用いて制作した。写真:林 雅之






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