職場を生き抜け!

2008年7月16日

【第30回】ベンチャー企業に転職したいと考えています…

〜優良ベンチャー企業の簡単な見分け方を教えます〜

 ベンチャー企業の見分け方は、様々な基準があるとは思いますが、筆者は主に次の2点に着眼しています。ベンチャー企業に転職を考えている人は、エントリーする際の参考にしてください。

1、年間売り上げ 
2、経営者の背景(生い立ち、学歴、職歴、年齢、在籍した企業、そこでの実績等)

 1の年間売り上げですが、これは大企業を見る時にも大切な要素です。ベンチャー企業は経営基盤が脆いだけに、より一層重要な情報だと筆者は考えています。

 10年程前に筆者は、ベンチャー企業の年間売り上げについて、実績では指折りの著名なコンサルタントから次のようなことを教えてもらいました。それは、その後、ベンチャー企業を取材していて、見事に的を射ていました。

1、年間売り上げ2億円までは、経営者が「個人事業主」として、多くは1人で仕事をして成果を出していく。

2、年間売り上げ5億円前後までは、「個人事業主」からの脱皮の時期。この時期、経営者は、新たに側近(役員、マネージャー)や社員(主に中途採用)を雇うものの、うまくはいかない例が多い。1人で営業・総務・経理・金融機関との交渉・採用などをするので、経営者に情報が集中し、ワンマン体制が続く。

3、年間売り上げ10億円を超えるには、経営者1人の力では不可能。そこで、役員やマネージャー層を管理して、その下にいる社員を抱きこみ、組織力を重視する方向に切り替える。ところが、ここで本当の意味で組織力に切り替えることができる経営者は少ない。前の段階までに、ワンマン体制が染み付いてしまっているので、経営者は組織力に切り替えることが簡単にはできない。最大のポイントは、経営者の意識と行動が変わるか否か、である。

4、年間売り上げ30億円までは、10億円の時に組織力が本当についていれば、案外スムーズに進む。しかし、たまたま10億円を超えたという場合は、組織力が依然として築けていないために、再び行き詰まる。かつてベンチャー企業として注目を浴びた会社も、10年後になると、ここでずっと苦しむ場合がある。

5、年間売り上げ50億円までは、前の段階までで組織に浸透している組織力をさらに一段と強化する。一方で、スピードを重視ながら採算ベースに乗るように新規事業を仕掛けていく。ただし、このレベルでは安易な多角化はうまくいかない。無理のない新規事業が望ましい。うまくいかない場合は、その事業を廃止する選択肢も含め、素早く見直しをする。

 上記の1〜5のうち、新規事業を始めるタイミングは少し疑問を感じますが、概ね、筆者が見てきた40社前後のベンチャー企業は、このようなプロセスを経て成長しているように思います。

 ちなみに、年間売り上げ50億円から1000億円までのプロセスも、そのコンサルタントは教えてくれましたが、ここでは省略します。

 この年間売上からのアプローチに加え、筆者は、経営者の背景(生い立ち、学歴、職歴、年齢、在籍した企業、そこでの実績等)も、非常に重要な要素だと考えています。年間売上とこの経営者の背景は、ある程度の重なりを持つからです。

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著者プロフィール

吉田 典史(よしだ・のりふみ)
1967年生まれ。大学卒業後、通信社、放送局、出版社で、夜逃げする社長から総理大臣経験者まで、計1200人前後の取材をする。2005年独立以降は、ビジネス書、特に人事・労務分野で取材、執筆、編集を続ける。雑誌「人事マネジメント」(ビジネスパブリッシング社)、「企業と人材」(産労総合研究所)などで執筆中。著者に「すぐに使えるビジネス文書文例400」(成美堂)、「即解!2007年問題 トピック45」(九天社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文館出版)、『非正社員から正社員になる!』(光文社ペーパーバックス)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』などがある。ライターや編集者を志す人が集う「編集の学校・文章の学校」では取材、ライティングを教えている。

このコラムについて

職場を生き抜け!

「夜逃げした社長」から「総理大臣経験者」まで--。これまで計1200人を取材してきたジャーナリストが、読者から寄せられた「職場の悩み」に答えるべく、専門家、企業の人事担当者への取材を敢行する。毎回、マニュアル本では書かれなかった企業人の“本音”“ナマの声”を踏まえた現実の回答を探る。

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