GE財務部門の強さを探る

【2】徹底的にリーダーを育てるプログラム「FMP/CAS」とは?

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世界でビジネスを展開し、成長を続けるGE。その成長を支える財務部門とはどのような組織なのか。GEヘルスケア・ジャパンのCFO、村上義人さんに、GEの象徴でもあるリーダー育成プログラムについて聞く。

−−前回、GEのリーダー育成プログラムである「CAS」(コーポレート・オーディット・スタッフ)での経験が、CFOを務めるうえで非常に役立っているというお話がありました。今回は、そのプログラムについて詳しくうかがいたいと思います。村上さんはGEに入社されてから、まず「FMP」(ファイナンシャル・マネジメント・プログラム)を2年間、そして「CAS」を5年間それぞれ経験しているんですよね。FMPとCASはどのように違うのですか。

村上 この2つは、ともにリーダー早期育成のためのプログラムですが、スコープ(活動範囲)が異なります。まず、FMPは基本的に新卒で入社した社員が対象です。2年間で徹底的にGEの価値観や行動指針(GEバリュー)を学び、将来のGEのファイナンス・リーダーになるための基礎をしっかり身につけるプログラムという位置づけで、国内で実施します。半年ごとに2年間で4つの異なるローテーションを経験します。ファイナンスのチームの一員として同じように仕事をしながら、それにプラスして定期的なクラス形式のトレーニングも受けます。ファイナンスの基礎的な技術を身につけたり、ケーススタディーに取り組むとともにプレゼンテーションのスキルを磨いたりしますが、試験を受けて一定の点数を取らないと次に進めません。

1年間3カ所を監査、4カ月間で結果を出す

 一方、CASは全世界のGEグループ企業を会計監査する社内組織で、450人ほどのメンバーが世界各地に派遣されます。派遣先を「クライアント」と呼んでいることからも分かる通り、ビジネスを客観的に見る立場にいます。世界四大監査法人のKPMGと並ぶだけのクオリティーを監査に要求されます。クライアントに動いてもらわなければならないので、相手を説得するための交渉力や、コミュニケーションの力も必要です。それに加えて、監査は短期間で結果を出さなければなりません。いろいろな情報を論理立てて整理し、解決策を打ち出す「Clear Thinking 」(明確でわかりやすい思考)のスキルも求められます。これらをOJTで学んでいくのがCASです。

−−どのくらいのペースで監査するんですか。

村上 4カ月ごとに1年間で3カ所です。

−−どんどん移っていくんですね。

村上 そうです。対象企業の規模によっては、「スウィング・オーディット」といって、4カ月の間にシンガポール、インド、オーストラリア、中国を1カ月ずつ監査するといったケースもあります。短期間ですべてをカバーしなければなりません。そういう時は本当に勉強になりますね。いかに早く問題を察知して、データの裏付けを持って優先順位を付け、そして改善していくか。その過程で、CASのリーダーともコミュニケーションを取る必要もあります。

村上義人さん

GEヘルスケア・ジャパンのCFO、村上義人さん

−−CASではどれくらいの期間、活動するんですか。

村上 最初の2年間は「アソシエート・オーディター」といって、実際に分析し、問題点を探して修正する業務を担当します。3年目から「オーディット・マネジャー」になり、自分のチームを持ちます。アソシエートとして2年間経験した後、オーディット・マネジャーになるのがその人によいのか、自分のチームを持つだけの力があるのか、あるいはビジネスに戻って専門性を磨いた方がよいのかといったことを審査するミーティングがあります。そこでまず本人の希望を聞いた上で、審査に合格した者がオーディット・マネジャーに昇格するという仕組みです。オーディット・マネジャーの次は、4年目に「シニア・オーディット・マネジャー」、5年目に「エグゼクティブ・オーディット・マネジャー」になります。

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