社会人歴12年目の30代半ばの営業マンは、新人が作ってくれた資料を見ながらイスの上で固まっています。横には初めて作った資料の出来栄えにニコニコしている新人。
「お客様に出す資料なんだから会社のフォーマットを使わないとダメだよ。あることは知ってるよね?」
「知ってます」
「どうして使わないの?」
「先輩、フォーマットを使えって言わなかったですよね。言われてないからやってません」
この営業マンの気持ちを察すれば「それぐらい言われなくてもやるだろう」ですが、新人は「言われたことだけやってなぜ注意されるのか」でしょう。ささいな認識のズレから起きる「聞いてません」「言われてません」のすれ違いは、新人をかかえる上司たちからよく聞きます。
上司が新人に期待し過ぎていると言えばそうかもしれませんが、気の利かない新人に映ってしまうのも事実です。こうした特徴を弊社では「主体的受身」と呼んでいます。
ゆとり世代は少子化の影響もあり豊かな生活環境で成長してきました。新人たちにインタビューすると、テレビやビデオ、パソコン、i-Pod、デジタルカメラ、ゲーム機など、あらゆるモノを自分専用で持っています。いま欲しいものは?と質問しても「特にない」という回答が大半でした。モノに満たされ、欲しいと強く思う前に周りから与えられる受身の状況はあたり前となっています。
受身の要因は大学受験でも見受けられます。学生確保のため、試験の得点で合否が決定する一般入試とは異なるAO(アドミッションズ・オフィス)入試を導入する大学が急増しています。また、推薦入試での入学者の割合は4割近くに上っています。中には8〜9割が無試験で入学できる大学もあるほどです。

「言われてないからやってません」(イラスト:千野エー)






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