• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

人を組み替える

2015.03.24

上司も親も“正解の束”ではないと知ってもらうために

藤原 和博

社長の[よのなか]科 つなげる力 3分講座

意識改革 教育 コミュニケーション

「つなげる力」をキーワードに、新しい時代のマネジメント、リーダーシップ、イノベーションを指南する3分間動画の連載です。講師は、元リクルートフェローで、東京の杉並区立和田中学で義務教育初の民間人校長を務めた藤原和博さん。経営者としてのコミュニケーション力を研き直せるだけでなく、アイデア溢れる人材の獲得、育成につながる知恵が、ホワイトボードを使った解説とショートエクササイズを通して、自然に身に付きます。

 

前回は、失敗・挫折・病気といったマイナスモードの自分プレゼンが人間関係を深め、相手とのつながりを強くするというお話をした。コミュニケーション上手な上司・マネージャーというのは、部下にそういった弱みを握らせるのが実にうまい。

一同を前にして「いいか、今から自分の弱みを言うから聞いてくれ」なんて言い方では、もちろん通じない。お酒を飲む場でも面接の場でも良いので、一人ひとり、相手のキャラクターに合わせて話し、自分の弱い部分を握らせておくことが大切だ。

なぜかというと、部下は上司を“正解の束”だと思っているからだ。「この人はずっと成功してきて、マイナスな面なんてないのだろう」。できる上司ほど、そう思われがちになる。すると部下は、上司に対して悪い情報を入れづらくなってしまう。お客さんのところでトラブルを起こしてしまったり、その対応が非常に遅れてしまったり、そういったことを“正解の束”である上司には報告しづらいものだ。致命的な問題の報告が遅れれば、会社の存続を揺るがす可能性だってある。

つまり、上下におけるコミュニケーションを良くするためには、ある意味、上司も弱い存在なのだということを分かっておいてもらう必要があるわけだ。これは家庭における子育てについても同じことが言える。

子どもは親のことを完璧な存在、正解の束だと思っている。その親たちが正解主義で子育てをすると、子どもにとっての逃げ場がなくなってしまう。だから、自分たちも失敗や挫折や病気を繰り返して大人になったんだということを、そしてプラスモードとマイナスモードの束なんだということを、きちんとプレゼンしておく必要があるのだ。

いざというとき、例えば子どもが昨日からクラスで無視され、いじめられているというようなとき、いつも格好良くて正しいことばかりを言っているお父さん、お母さんにはなかなか相談しづらいだろう。しかし、自分も弱い存在であり、いじめられたことがあるということを子どもに知っておいてもらえば、子どもだって相談しやすくなるはずだ。

このように、失敗・挫折・病気といったマイナスモードの話を部下や子どもに話しておくことは、悪い情報を上げてもらうためには必須となる。ぜひ覚えておいていただければと思う。

併せて読みたい、編集部からのおすすめ記事
セルフエスティーム──若者を沈黙させる、低い自己肯定感の原因

若い人たちから意見があまり出ないという悩みを聞くことがある。「アイデアを出してほしい」と言っても、なかなか発言してくれない。これは一般的に、若い人たちのセルフエスティーム(自己肯定感)の低さが理由として考えられる。

プロフィール

藤原 和博 (ふじはら かずひろ)

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙四冠に。著書に『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズがある。ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)。人生後半戦の生き方の教科書『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラーに。最新刊は『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。詳しくはホームページ「よのなかnet」に。