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人を組み替える

2015.03.10

プレゼンの秘訣は、語ることではなく“聞きまくる”ことにある

藤原 和博

社長の[よのなか]科 つなげる力 3分講座

教育 コミュニケーション プレゼンテーション

「つなげる力」をキーワードに、新しい時代のマネジメント、リーダーシップ、イノベーションを指南する3分間動画の連載です。講師は、元リクルートフェローで、東京の杉並区立和田中学で義務教育初の民間人校長を務めた藤原和博さん。経営者としてのコミュニケーション力を研き直せるだけでなく、アイデア溢れる人材の獲得、育成につながる知恵が、ホワイトボードを使った解説とショートエクササイズを通して、自然に身に付きます。

 

相手に通じるプレゼンテーションとは、どういうものなのか。通じるプレゼンを全社員が意識できるようになると、人と人とをつなげるチームビルディングにもなり、自然とイノベーションを生み出す企業風土が醸成される。

前回にお話ししたように、説明(Explanation)とは「自分の頭の中」にあることを順序立てて正しく述べることだ。そしてプレゼンテーション(Presentation)とは「相手の頭の中」に像を結ばせる行為となる。この違いを明確に意識しなければならない。

例えば、野球ファンが昨日見た試合について「せっかく9回の表まで5対0で勝っていたのに、9回裏に逆転されて5対5、11回には逆転サヨナラホームラン……」といったことを“野球を知らない相手”に説明したとして、何が伝わるだろうか。もしくは、サッカーを知らない人に延長やPK戦で負けた悔しさを同様に説明して、はたして相手は何をどう受け取るだろうか。

基本的に人間というのは、自分が知らないことを言われると恐怖する動物でもある。ここで、本当に相手に伝えたいのなら「相手の世界観の言葉で話さなければならない」という発想の転換が必要になる。これを意識している人と、していない人のプレゼンでは、全く結果が異なる。

例えば、ヒアリングを繰り返す。相手の世界観の中に、A、B、CのうちBとCはそれほど無い。PとQならQに好意的で、X、Y、ZだとXとYはダメ。こういったことをヒアリングした後に、あなたがプレゼンしたい商品をAとQとZを組み合わせたものとして相手に伝えることができると、必ず相手に通じるものとなる。

相手がそういう優れたプレゼンを受けた場合、まるで自分の考えの一部のように思えるものだ。既に相手の中に存在している答えを編集して提示しているわけだから、必然とも言える。

もちろん、実際のマーケティングではこういった単純な組み合わせで済むものではない。しかし、基本は相手の頭の中にあることを組み合わせて提示することにある。そこに自分なりのプラスアルファを掛け算して工夫すればいい。

自分の頭の中にあることをただ話し、相手も自分の頭の中にあることをただやりとりするだけ。こうした「独り言の応酬」を繰り返したところで、正解なき成熟社会における納得解は見いだせない。1時間あるならば57分は聞いて聞いて聞きまくり、相手の世界観における要素を探ってから、それを組み合わせ、3分で提示するくらいでも良い。ぜひ試してほしい。

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プロフィール

藤原 和博 (ふじはら かずひろ)

1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。2003年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。08年~11年、橋下大阪府知事の特別顧問、14年~佐賀県武雄市の教育政策特別顧問に。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙四冠に。著書に『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)など人生の教科書シリーズがある。ビジネス系では『リクルートという奇跡』、情報編集力の本質を和田中での改革ドキュメントとともに解説した『つなげる力』(ともに文春文庫)。人生後半戦の生き方の教科書『坂の上の坂 55歳までにやっておきたい55のこと』(ポプラ社)は12万部を超えるベストセラーに。最新刊は『もう、その話し方では通じません』(中経出版)。詳しくはホームページ「よのなかnet」に。