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モノと道具を再構築する

2015.03.02

高級車への欲望、会社を成長させる本能

米山 公啓

脳に学ぶ経営戦略

成長戦略 意識改革

なぜ高級車を欲しがるのか

車には乗っている人の性格、願望、経済力が現れる。大手企業では社用車になるので、どれも同じような黒塗りの車になるが、それはそれでステータスがあるのだろう。

個人経営者で考えると、例えば昔の開業医などは当初スクーターで往診を始めて、次第に儲かってくるとスバル360になり、コロナになって、クラウンになり、さらにベンツというのが開業医成功ストーリーのようなものだった。

しかし、最近では車への価値観がかなり変わってきて、ライフスタイルそのものの表現のようになってきた。

欲しいと思うことの重要性

車は移動手段だから何でも同じだと思う人と、できるだけ快適な空間の中で移動したいと思う人では、自ずと選ぶ車が違ってくる。車を分かっている人は、車にそれぞれ個性があることを知っている。どれも同じだと思う発想では、意欲や発展性をそいでしまう。

そして、ただの移動手段と考える人は、新しいことを体験する重要性を無視するようになる。つまり発展していく可能性をそいでしまう危険を秘めていることになる。それは車だけに限らず、仕事にも必ず影響してくるはずだ。こういった傾向は、過去の知識や経験に依存することで、新しい発想を抑制してしまう。

高級車を所有する意味

いま再び、高級な外車が売れ行きを伸ばしている。経済状態が良くなると人の欲望が上昇志向に変わるという典型的な現れである。自分の成功の証に高級車が欲しいというのは、当然の欲望と言っていいかもしれない。むしろ高級な車とは、そういった欲望を満たすための商品ということなのだろう。

300キロのスピードが出せても、実際に出せるところはサーキットしかないし、車幅も2メートルを超えると、東京都内では駐車場がかなり限られた場所しかなくなってくる。どんなにスピードが出せても、一車線で前をゆっくり走る軽自動車に利便性で勝てない。

大型車を買って感じるのは、いったいどこへ乗って行けばいいのかということだろう。結局、所有する喜びでしかないことに気付くのかもしれない。私の友人はフェラーリを持っているが、フェラーリのホイールを綿棒で磨くことが楽しみだと言っていた。

それでも高級車を目指すべき

一時期、ハリウッドスターがハイブリッド車を買うことに優越性を示していた時期があった。大型の高級車より、それが良いことのように思ったのだろう。しかし、残念ながら人間の脳は、より大きなものを渇望するようにできている。

海鳥が崖に作った巣に戻り、転がり落ちた卵を戻すときには大きなものから戻すという。たとえ偽物の卵であっても、大きなものを優先するというのだ。それくらい動物には、大きさに対して本能的な願望があるのだろう。

その本能は、人間の進化にも大きく影響してきた。小さな船から巨大な客船になり、小屋から巨大なマンションになっている。個人の欲望を見ても、車や家、あるいはマンションであろうと、広く大きなものに憧れを抱き、それを所有するために一生懸命に仕事をすることになる。

つまり、経営者が抱く大きな願望がそちらに向かないと、結局は消極的な行動になってしまう。社長の乗る車は、社員の憧れの車でなければならないのだ。

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知性とは、別の言い方をすれば「生きる知恵」です。知性を成立させているのは「生きたい」という本能であり、「できれば楽して生きたい」という邪心であり、「ついでに女の子にもモテたい」というどうしようもない欲望なのです。

プロフィール

米山 公啓 (よねやま きみひろ)

1952年山梨県生まれ。作家、神経内科医。元聖マリアンナ医科大学第2内科助教授。現在までに280冊以上を上梓。講演会、テレビ・ラジオ出演、テレビ番組企画・監修なども行う。日本老年学会評議員、日本脳卒中学会評議員、日本ブレインヘルス協会理事。