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モノと道具を再構築する

2015.02.02

ウェブサイトの画像使用は著作権に気を付けて

石原 豊昭

経営者家族の法律問題

法律 損害賠償 危機管理

ネット上の画像を安易に転載すると著作権侵害になる

最近では、会社の規模にかかわらずウェブサイトを作る会社が当たり前になってきました。会社の沿革や事業内容、新商品の紹介や社員募集のお知らせまで、24時間いつでも新しい情報を配信することができます。取引先に限らず、誰でも閲覧できるというのも大きな利点の一つでしょう。

ただ、第三者のホームページやブログの画像でも技術的には簡単にコピーして使用できるため、相手の許可を取らずに、その画像を自社のウェブサイトに転載してトラブルになるケースが少なくありません。先日も、JR東日本新潟支社が個人ブログから写真を無断でウェブサイトに転載し、謝罪したという事件が報道されました(※1)。

報道によると、無断使用されたのは、かつて新潟-青森間を走っていた特急「いなほ」に使われていた「485系国鉄色車両」の写真です。「いなほ」は、2010年12月のダイヤ改正で運転区間が新潟駅-秋田駅間に短縮され、昨年7月からは車両も替わっています。同支社では、その「いなほ」を3月21日、22日限定で1往復だけ、「485系国鉄色車両」で新潟-青森間を走らせる企画を商品化しました。その販売に際し、車両のイメージ写真として撮影者がブログにアップしていた画像を無断でウェブサイト上に掲載してしまったのだそうです。同支社は無断掲載を認めて問題の写真を削除し、1月24日、ホームページに謝罪文を掲載しました(※2)。

この例に限らず、ネット上の他人の画像を無断転載し、再配信してしまうケースは珍しくありません。しかし、この行為は法律上、著作権侵害になります。具体的には、複製権の侵害(著作権法21条違反)、公衆送信権の侵害(同23条違反)です。

転載するなら必ず撮影者の許可を取る

第三者によるウェブサイトやブログでの文章・画像は、個人で使う場合、または家庭内など限られた場所で使う「私的使用目的」なら、通常、相手の許可がなくてもコピーは自由で、著作権侵害にはなりません(著作権法30条)。

ただし、次の場合には、たとえ私的使用目的でも著作権の侵害になります。

ウェブサイトやブログで配信する場合

コピーした画像などをパソコンに取り込むのは自由ですが、その画像を許可なくウェブサイトやブログに載せる(ネット上に配信する)と、公衆送信権の侵害になります。ただし、その画像を「引用」として使用する場合には、原則として著作権侵害にはなりません(著作権法32条)。

コピーした画像を広告などの営業目的に利用する場合

ネット上への配信でなくても、パソコンに取り込んだ他人の画像などを無断で広告など営業活動に使用すると、やはり著作権侵害です。

一般的に、第三者が撮影・配信した画像を会社がコピーする場合には、私的使用目的と認められる場合は少ないと考えた方がいいでしょう。例えば、会議や研修などの資料として使うことも、業務としての使用なので私的使用目的にはなりません。現実に訴えられるケースは少ないかもしれませんが、無許可でコピーすると法律上は著作権侵害になるということを覚えておいてください。

ところで、無断転載が発覚し相手から抗議されると、「ネット上に公開された画像に著作権はない」とか、「日常的なスナップなどは芸術性がないから著作権の対象にならない」と言い訳をする方がいます。しかし、著作権フリーなどの指定がない限り、無断転載は著作権侵害です。また、作品性があるとは言いきれないような、ありふれた日常のスナップを著作物に当たるとした判例もあります。

社長さんや会社は、第三者の画像をウェブサイトなどで使う場合、必ず撮影者など権利者の許可を取るといいでしょう。前述した車両写真にしても、事前に撮影者に許可を得ていれば、ウェブサイトから画像を削除したり、謝罪文掲載という事体には至らなかったと思います。ただし、ネット上では画像の配信者が必ずしも権利者とは限らないので、そこも注意が必要です。

なお、無断コピーや無断配信をすると、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金(併科もある。法人3億円以下の罰金)が科されます(著作権法119条1項)。ただし親告罪なので、一般的には権利者は刑事告訴より、画像の削除や配信差止め、損害賠償を求めるのが普通です。雑誌に掲載した写真を無断で別の雑誌とウェブサイトに転載された写真家が、写真の複製、公衆送信の禁止、損害賠償として790万円の支払いなどを求めた裁判で、東京地裁は著作権と著作者人格権の侵害を認め、被告に雑誌の廃棄とウェブサイトからの写真削除の他、59万円余りの賠償金支払いを命じています(平成25年7月19日判決)。

※1 「ネット上の写真を無断掲載 JR東新潟支社がおわび」(出典:朝日新聞社)朝日デジタル2015年1月25日02時35分配信
※2 「ホームページ掲載の写真についてのお詫び」(出典:JR東日本新潟支社)1月24日配信
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昨今、インターネットの普及や急速な情報の電子化などに伴い、以前よりも著作権に関する相談を受けることが多くなってきています。ところが、著作権関連の相談を受ける場合、確定的な判断が難しいケースが多いというのも実際のところです。

プロフィール

石原 豊昭 (いしはら とよあき)

弁護士。東京弁護士会所属。1928年山口県生まれ。中央大学卒。三井三池労働争議事件はじめ、暴力金融・株券金融犯罪グループ事件の被害者救済など、多くの事件を手がけてきたベテラン。著書に『債権なにがなんでも回収法』『遺言の書き方と活用法』『訴訟は本人で出来る(共著)』など多数。