• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

人を組み替える

2015.01.28

夢中になれること──“人”発で考える

河村 有希絵

小さな組織のアドバンテッジ

小さな組織 楽しさ 効率

最近、女流歌人・俵万智さんのツイッターに投稿される息子さんのエピソードがネット上で話題です。その代表がこれ。

 

本当に言葉のセンスのある息子さん。親譲りですね。

なるほど、集中と夢中は違うなと共感すると同時に、集中と夢中は何が違うのだろう?と改めて自分に問い直すきっかけとなりました。集中も夢中も、結果的には人の行動作業やアウトプットの質を劇的に高めるものであると思います。一体何が違うのでしょう? そして組織にとっての示唆は何なのでしょうか?

集中はスキル、夢中は天性

私にも子どもがいます。親の私からすると、キョロキョロとよそ見が多く、何とも気が散りやすい子に見え、しょっちゅう「もうちょっと今やっていることに集中しなさい!」と説教していますが、「夢中になりなさい!」と言ったことは一度もありませんでした。

「集中力を上げる」とは言いますが、「夢中力を上げる」とは言いません。集中は辛うじて人に強いることができるけれども、夢中を強いることはできない。事に当たる本人からすれば、集中は意識的にできるけれども、夢中にはなろうと思ってなれるものではない。

子どもを見ていると、集中は後天的に身に着けることができるスキルですが、夢中は天性のものなのではないかとも思います。だからこそ、意識的にその状態になる集中は疲れるけれど、無意識の夢中は疲れないのではないでしょうか?

集中と夢中の対象

私の息子の名誉のために付け加えておくと、もちろん言われなくても集中していることがあります。妖怪ウォッチのキャラクターと歴史上の人物について読み書きしている時は、声をかけたって返事もしません。

息子は妖怪ウォッチのキャラクターの絵と説明を黙々と書いて、オリジナルの辞典を作っています。歴史上の人物については辞典を読み漁る側です。もっと昔はウルトラマンと怪獣でした。おそらく、彼は人ないしキャラクター(妖怪や怪獣)については言われなくても集中できるのでしょう。これは集中というよりも夢中なのかもしれません。

集中がスキルであるとすれば、集中は対象をあまり選びません。集中力に長けた人は集中すべき対象に意識的に集中できることになります。もちろんこの集中にも、しやすい対象としにくい対象があるでしょう。自分が夢中になる対象と近いもの、強い興味のあることについてはより集中がしやすいはずです。

社員が夢中になれること

人は夢中になると、他の人には真似できない成果を生み出します。しかし、その対象は押しつけることができません。夢中になれることを対象に起業する人は強い。起業であれば、夢中になれる対象を自分で選ぶことができます。

既存の組織において、そこまで対象を選ぶことはできませんが、人を見て、その人が夢中になれる仕事を与えることはできます。あるいは、人が夢中になれることを仕事として作っていくこともできます。

夢中になれることそのものではなくとも、それに少しでも近い仕事ならば集中力を発揮してもらうことができるでしょう。そして、その方法論は大きな組織よりも小さな組織のほうが柔軟に取り入れることができると思うのです。

何も組織全体が小さい必要はありません。大きな組織の中の、小さなユニットでも良いと思います。この人は何に夢中になれるのか、何に集中力を発揮できるのか。人を見て、その“人”発で仕事を考える、仕事を作る、そのような発想が小さな組織には可能なはずです。

最後に付け加えたいことがあります。集中より夢中が良いのかと言えば、一概にそうとも言えないのではないかということです。夢中になると周りの声を聞き入れづらく、周りが見えない状態になります。客観性に乏しいのです。意識的に作り出している集中ならば、冷静に周囲の状況や助言を受け入れやすいものです。

“夢中”になって仕事をしている人の横には、“集中”してその仕事を冷静に見る人が必要なのではないかと思います。これこそ、チームの効用の一つではないでしょうか。

併せて読みたい、編集部からのおすすめ記事
競争のために一番大事なこと:「好き」の本質は「努力の娯楽化」

趣味と仕事の違いは、「自分のためにやる」か「他人のためにやる」かということです。当たり前ですが、他人のためにならないと、仕事にならない。

プロフィール

河村 有希絵 (かわむら ゆきえ)

1997年東京大学部法学部卒、ボストン コンサルティング グループに入社。ノースウェスタン大学ケロッグスクールオブマネジメントにてMBA取得。長期に渡り、様々な企業のコンサルティングに携わる。また、ボストン コンサルティング グループに在職中、内閣総理大臣官邸 国際広報室に出向、国際広報戦略アドバイザーとして東日本大震災後の風評被害対策などを担当。2014年10月よりChangeWAVE(株式会社チェンジウェーブ)に共同代表として参画。企業の変革実現サポートと変革リーダーの育成に取り組む。著書は『課題解決のための情報収集術』(ディスカバー21)。