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カネを活かす

2014.09.19

起業ブームで知っておくべき、税制・保険上の長所短所(後編)

樋口 秀夫

事業主さんのための攻めの節税

制度 節税 起業

前回の続きです)

法人企業のメリット、デメリット

個人事業から法人成りを考えるのは、どのような状況になったときに考えればいいのでしょうか。

例えば、売り上げが2年続けて1,000万円を超えたようなときは、3年目からは消費税を納める課税事業者となるので、法人を設立してさらに2年間の免税を受けられる選択をするということが考えられます。しかし、会社にすれば法人住民税や税理士報酬などの維持費がかかりますので、やはりある程度の売上げや利益が見込まれないと経費倒れになってしまいます。

個人事業のままだった場合と法人成りした場合を比べると、次のようなメリットが考えられます。

(1)法人の場合、事業所得に代わり役員報酬を受けることになりますが、その場合は給与所得になるので、サラリーマンと同様に給与所得控除を受けることができます。

(2)自宅が賃貸の場合、法人と直接契約を結ぶことによって、住宅家賃の50~80%を必要経費とすることができます。

(3)個人で生命保険料を支払った場合、生命保険料控除の範囲でしか控除できませんが、法人で支払った場合は保険料の50~100%を必要経費にすることができます。

(4)将来事業を辞めた時に、個人だと退職所得という概念がありませんが、法人の場合だと退職金を支払うことが可能となります。退職所得は勤続年数に応じて退職所得控除を受けることができ、また課税所得額も5年を超えて退職した場合に2分の1として計算できます。

税制面では、法人企業にしたほうが明らかにメリットが多いと言えます。

社会保険の取り扱い

社会保険はどうなるのでしょうか。

(1)個人形態の場合
事業主は第1号被保険者となりますので、国民年金に加入することになります。配偶者も同様に第1号被保険者になりますので、国民年金に加入します。また、健康保険については国民健康保険になります。配偶者に関しては収入が130万円までは扶養者になりますが、それを超えると自己負担で国民健康保険に加入することになります。年金を受け取るときは、個人事業をしている期間については基礎年金のみになってしまいますので、サラリーマンを続けていた場合と比べ、金額的にはあまり期待できないものといえます。

(2)法人形態の場合
法人の場合は、役員報酬の形態で支給を受けるので、その取扱いはサラリーマンの場合と同様に第2号被保険者となり、厚生年金に加入します。配偶者は、収入が130万円以下ですと第3号被保険者となり加入の必要はありません。130万円を超えると第2号被保険者となり、社会保険、厚生年金に加入することになります。また、年金を受け取る場合はサラリーマンを続けていた場合と同様の扱いになります。

設立にあたっての補助金制度

法人設立を予定している方には、設立にあたっての補助金の制度があります。例えば、中小企業基盤整備機構においては中小企業基盤整備機構法創業補助金(創業促進補助金)の公募を以下のような方法で案内しております(本年度の公募期間は既に終了しております)。

地域の活性化や海外需要の獲得を目指す創業へのチャレンジを支援します

「創業促進事業」は、新たに創業(第二創業を含む)を行う者に対して、その創業等に要する経費の一部を助成する事業で、新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させることを目的としています。

1.補助対象者及び補助内容

(1)補助対象者
起業・創業や第二創業を行う個人、中小企業・小規模事業者等の皆様向けに国が認定する専門家などの助言機関(認定支援機関たる金融機関等)と一緒に取り組んでいただきます。
1. 地域の需要や雇用を支える事業や、海外市場の獲得を念頭とした事業を日本国内において興す起業・創業を行う者
2. 既に事業を営んでいる中小企業・小規模事業者・特定非営利活動法人において後継者が先代から事業を引き継いだ場合などに業態転換や新事業・新分野に進出する[第二創業]を行う者

(2)補助内容
弁護士、弁理士などの専門家との顧問契約のための費用や広告費等、創業及び販路開拓に必要な経費に対して以下の補助率、補助上限額に基づき補助を行います。
なお、補助額が100万円に満たない場合は、補助の対象外とします。

中小企業基盤整備機構法創業補助金(創業促進補助金)の補助内容

上記に掲げた補助金制度は、年度ごとに期間を決めて公募していますので、中小企業基盤整備機構のホームページの応募要領等を参考にしてください。また、各都道府県の市町村においても随時応募が行われていますので、インターネット等で探してみてください。

起業には夢があると思われますが、安易に考えると思わぬ負債を抱えてしまい、取り返しのつかないことになってしまうことも考えられます。企業の計画を立てるには、細部まで慎重を期し、そして決断する勇気も必要です。上記に掲げたことは、あくまでも制度的なことで、問題は事業の内容です。独立して事業を行うには、それなりの苦労はつきものだと思います。窮地になっても挫けない精神力が最低条件です。

プロフィール

樋口 秀夫 (ひぐち ひでお)

IAU税理士法人・樋口事務所所長。1952年東京都生まれ、立教大学経済学部経済学科卒。1982年税理士試験合格、1985年6月税理士事務所開業。税理士は税務における納税者の弁護人であるという理念に基づいた業務内容に特徴があり、多種多様な業種のクライアント多数。