• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

女性経営者の時代

2014.08.28

女性の社会進出で知っておくべき、130万の壁と106万の壁(2)

樋口 秀夫

事業主さんのための攻めの節税

家計 節税 女性 制度

前回の続きです)

平成28年10月からは、パートタイムなど短時間労働者に対する社会保険の加入ルールが見直されます。その条件を受けて、今後はどのような働き方が考えられるでしょうか。

(1)労働時間を減らす(週20時間未満)
(2)規模の小さい会社に転職する(130万円の壁は残る)
(3)積極的に今までよりもたくさん働いて年収を増やし、正社員を目指す

ということになるでしょう。

仮に厚生年金に加入する第2号被保険者である会社員と20歳で結婚し、自分で保険料を納付する必要がない第3号被保険者として60歳までずっと結婚生活を送ったとすれば、40年間実質的に一度も保険料を納付することなく、65歳から満額(平成24年度は786,500円)の老齢基礎年金を受け取れます。*1

では上記(3)の選択をして途中から働くことになった場合、控除される年金分に見合う通算老齢年金を受け取ることができるのでしょうか。あるいは国民年金を支払う第1号被保険者になったとき、受け取る年金に反映されるのでしょうか。*2

次のような3つのケースを考えてみましょう。

A 40年間専業主婦で、第3号被保険者として保険料を支払わなかった場合
B 30年間専業主婦で、途中から働くようになり10年間厚生年金を支払った場合 合計40年
C 30年間専業主婦で、途中から働くようになり10年間国民年金を支払った場合 合計40年

この場合、実は通算老齢年金の受取額はB>A=Cとなります。Cのケースで支払った10年間の国民年金は、受取額に全く反映されません

結論として、第2号被保険者として厚生年金に加入するのであればまだしも、Cのように130万円を超えて第1号被保険者として国民年金に加入しなければならなくなった場合、国民年金として支払った金額は確実に損をすることになってしまうのです。

以上のような状況になってしまうことは、現在の年金制度の大きな欠陥であり、早急に是正をしなければなりません。しかし、どのように是正をすればよいのでしょうか。

すべての被雇用者に社会保険への加入義務があるわけではありません。5人以下の個人事業者は加入を義務づけられていませんし、正社員の4分の3以下の労働時間であれば、加入を認められません。

現在の年金制度は将来の財源不足が指摘され、政府の予想見通しはとても頼りないものではありますが、国民の大多数の意識は夜警国家を目指すというより、現在の中程度の福祉国家を目指しているといったコンセンサスはあるかと思われます。医療が飛躍的に進歩するなか、平均寿命はますます延びるものと想定され、手軽にかかれる現行の医療制度と、老後の生活を保障する年金制度も必要であると思われます。

もともと社会保険の成り立ちは、働く女性を意識したものではありませんでした。だからといって、女性の社会進出を促すということで、いきなり第3号被保険者制度をなくしてしまうのも、主婦の立場を考慮すると乱暴な議論でしょう。今回の年金制度の改正はある程度評価することができるのでしょうが、国民年金に加入しなければならなくなるパートタイマー等を対象に第4号被保険者なるものを定めて、支払った国民年金を将来の年金受取額に反映するような仕組みに改正していくことが、女性の社会進出を促すために必要なのではないでしょうか。

*1 第3号被保険者は昭和61年にスタートした制度なので、まだ40年経っていない現在において65歳の方が満額もらうことはできません。
*2 なお、健康保険については単に負担が増えるだけです。

プロフィール

樋口 秀夫 (ひぐち ひでお)

IAU税理士法人・樋口事務所所長。1952年東京都生まれ、立教大学経済学部経済学科卒。1982年税理士試験合格、1985年6月税理士事務所開業。税理士は税務における納税者の弁護人であるという理念に基づいた業務内容に特徴があり、多種多様な業種のクライアント多数。