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女性経営者の時代

2014.08.27

女性の社会進出で知っておくべき、130万の壁と106万の壁(1)

樋口 秀夫

事業主さんのための攻めの節税

制度 女性 節税 家計

前回は、女性の社会進出に関わる103万円の壁についてご説明しました。今回はさらに130万円の壁と、2年後に訪れる106万円の壁について解説します。

これは年金や健康保険を考慮した場合に生じる壁なのですが、社会保険においては原則として扶養者の年収が130万円以上になると条件から外れてしまうため、健康保険における被扶養者として認められなくなります。また年金も同様に年収が130万円以上あると、自分で保険料を納付する必要がない第3号被保険者に該当しなくなるため、国民年金に加入するか(第1号被保険者)、勤務先で厚生年金に加入するか(第2号被保険者)、いずれにしても自分で健康保険料を負担しなければなりません。

第1号被保険者は国民健康保険と国民年金に加入が義務づけられており、国民年金の保険料は1年あたり183,000円(今年の4月より月額15,250円)です。また、国民健康保険の保険料は市町村によって違いますが、年収130万円の場合、たとえば東京では約7万円、40歳以上で介護保険料を支払う場合にはさらに約2万円が加算されて9万円ぐらいになります。国民年金と国民健康保険を合わせて年間25万円以上の負担料になり、手取り額が大きく減少することになります。103万円の壁の場合と違ってこの差は大きく、パート収入を130万円未満に収めたいという就労調整が行われます。参考までに、収入が129万円と131万円の手取額を比較すると、次のようになります。

129万円の場合:手取額 125万円(源泉税、住民税、復興税が控除)
131万円の場合:手取額  98万円(上記に加えて国民年金が控除)

もし130万円を超えても手取額125万円を維持したいのであれば、160万円ほどに収入を上げなければなりません。この差はかなり大きいものです。

また、130万円を超えた場合に勤め先で第2号被保険者として社会保険(健康保険、厚生年金)に加入できるといいのですが、社会保険の加入基準は1日に働く時間・1カ月に働く日数が、いずれも正社員の4分の3を満たしていることが条件です。この場合、社会保険に加入して自分で保険料を負担しなければなりませんが、半分は会社負担となるので、第1号被保険者と比較するとかなり軽減されます。

なお、平成24年8月に成立した「国民年金法等の一部を改正する法律」によると、平成28年10月からは、パートタイムなど短時間労働者に対する社会保険の加入ルールが以下のように見直され、従来までの社会保険適用の条件が引き下げられる見通しです。

(1)勤務先の従業員が501人以上の企業が対象
(2)週20時間以上
(3)月額賃金8万8000円以上(年収106万円以上)
(4)1年以上勤務

という基準をすべて満たすパートタイム労働者(学生は除く)は、厚生年金や健康保険の被保険者とするとのことです。対象者は約25万人と想定されています。

このように対象者は限定されていますが、この改正によりサラリーマンの夫を持つ主婦の働き方などにも影響が出そうです。新たに106万円の壁が出現することになるわけですが、この改正の趣旨について国では、

・これまで被用者保険の恩恵を受けられなかった非正規労働者に社会保険を適用し、セーフティネットを強化することで、社会保険による格差を是正する。
・働かない方が有利になるような「壁」を除去することで、特に女性の就業意欲を促進して、今後の人口減少社会に備える。

としています。

しかし前述のような条件を受けて、今後はどのような働き方が考えられるのでしょうか。

次回に続きます)

プロフィール

樋口 秀夫 (ひぐち ひでお)

IAU税理士法人・樋口事務所所長。1952年東京都生まれ、立教大学経済学部経済学科卒。1982年税理士試験合格、1985年6月税理士事務所開業。税理士は税務における納税者の弁護人であるという理念に基づいた業務内容に特徴があり、多種多様な業種のクライアント多数。