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モノと道具を再構築する

2014.07.01

ITは本業をサポートする「補機」

伊嶋 謙二

ITは企業の役に立っているか

効率 生産性 IT 成長戦略 意識改革 クラウド 競争

大きなお世話なだけのITにはもううんざり、なぜそうなのか?

つまらない話題の一つに「クラウド化に対して、企業はどうすべきか?」という問いかけがある。先入観に振り回されているのだ。

つまり前提として、クラウドはいわゆるITではないし、単なる仕組み、方法に過ぎないのだ。本当に考えなくてはいけないことは、常に「企業としていかに事業を継続していくか?」この目標に向かってすべての手練手管を用いなくてはならない。

クラウドはこのための手段として事業継続や事業拡大に必要に応じて導入すべきで、必ず導入しなければならないものではないはずだ。

さて、クラウドはだいぶ普及しているように思われている。個人としてのSNSやメール、Webでのクラウド利用は一般的になっているが、B2B(企業対企業)の場面で見ると今はまだ限定的な活用にとどまっている。

日本固有のIT発展の中で、オフコンからクライアントサーバへのオープン環境への移行については前にも述べたが、実はオフコン時代は販売店によるフルメンテナンスのサポートがあり、今から見れば随分割高であるが、社内IT担当者の負担は少なかった。

しかしオープン環境になって、増殖するサーバーやクライアントPCの管理でIT運用に掛かる社内の作業負担が大幅に増えた。

だが年商50億円未満の企業でも、その過半数に専任担当がいないというように、中堅・中小企業にとっては今後のIT化をすべて自前主義でいくには限界もあるであろう。

ならばそこに目をつけてITを企業内に置くことをやめて外部に置くあるいはクラウドベースでサービスとして利用すれば、自前で開発も運用管理などの面でもその業務の多くから解放されて、IT担当者の負担が大幅に軽減される。というバラ色の提案がまことしやかに伝播している。

ところが大きな問題としては、自社にITを置こうが外に置こうが、肝心なのはどのように使うかを「ユーザー企業」自ら考えなくてはならない点であるということだ。

主役である人間をサポートするのがIT

さては卵が先か鶏が先かの議論かと思えばそうではなくて、誤解を恐れずに言えば、ITは何かを創り出し生み出す万能の機械ではなく、単なる演算のための優秀な機械(アプリケーション、サービス)であるということを忘れてはいけないということだ。

企業活動に役に立つという前提には、企業のコア事業がきちんと成り立っていて、そこにツールとしてその事業をサポートしてくれるという当たり前の図式が必要なので、それを思い浮かべればおのずと理解できるだろう。

IT経営などは要するに形容矛盾(そろばん経営のようなもの)であり、ほとんどは経営や現業の助けとなる仕組みでどれだけITがサポートしてくれるか、この主従関係を誤ってはいけない。日立製作所を取材したときに主機と補機という点を強調していたが、まさにITの本質を突いている。

つまりITが主機の本業をサポートする補機であることだ。 ITを導入するだけでなく、ITを使って企業にどう効果を発揮するのかをイメージできないことには、企業内に置いて利用しようが、クラウド環境で利用しようが結果は一緒だ。

人間がITをうまく使うには、当たり前だが自社の経営、販売、製造などの主たる現場で効果的な活用を考え出す、導き出すことがユーザー企業自身にとって、まさにIT導入以前に求められていることになる。まずは目の前の仕事を良く見ろ、というところになるわけだ。

プロフィール

伊嶋 謙二 (いしま けんじ)

1956年秋田生まれ。矢野経済研究所でのIT産業の調査・研究業務に従事した後、1998年にIT調査会社ノークリサーチを設立し、代表取締役社長に就任。現在に至る。中堅・中小企業(SMB)市場のIT調査を得意とし、SMBのIT利用実態に詳しい。様々な関連業界誌で積極的な執筆も展開中。