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カネを活かす

2014.06.16

借上げ社宅の制度を使った大幅節税・自己負担分は20%以下で!(1)

樋口 秀夫

事業主さんのための攻めの節税

給与 原則 制度 オーナー 節税 ノウハウ 会計 福利厚生

企業の福利厚生の一環として、社員の住居費用に対して負担を補てんするケースがあります。一般的には、給与の一部である「住宅手当」としての支給、そして「給与天引き」による社宅貸与、この2つの方法が考えられます。

この2つのケースを比較すると、全く同じ家賃の住宅に住んでいたとしても、負担する税額には大きな違いが生じ、手取額に影響をします。

住宅手当を支給する場合

住宅手当の支給は社員に対する給与として所得税の課税対象となり、その分源泉徴収額等が増加し、手取額は減少することになります。

住宅に関する会社負担の例

従来の給与住宅手当を支給社宅貸与
家賃一部負担
給 与 総 額1,000,000円1,100,000円1,000,000円
社会保険料48,853円54,336円48,853円
厚 生 年 金53,072円53,072円53,072円
源泉所得税105,410円130,830円105,410円
住 民 税68,000円76,100円68,000円
手 取 額724,665円785,662円724,665円
家   賃200,000円200,000円100,000円
家賃支払後の金額524,665円585,662円624,665円

例えば、上記の表のようなケース(扶養家族なし)を想定すると、住宅手当10万円の支給を受けた場合、給与総額は110万円になり、その金額から源泉所得税、住民税、復興税、社会保険料の合計が天引きされることになります。

住宅手当は10万円増えたのですが、純増加額は6万997円で、3万9003円が源泉所得税等の名目で天引きされたことになります。それでも家賃支払い後の金額は、従来の52万4665円から58万5662円に増額されています。

「給与天引き」による社宅貸与のケース

ところが、この住宅を企業が借上げ、家賃自己負担分10万円(税法の範囲内で任意に設定)を「給与天引き」とした場合、負担額は同じでも源泉所得税等を天引きされない分手取り額が異なってきます。

10万円の住宅手当の支給を受けた場合と比較していただくと分かるとおり、このケースにおいて、源泉所得税等の負担がない分、家賃支払い後の金額は3万9003円増えており、同じ条件の住宅に住みながらも、その分節税を図れたことになります。

適正な家賃負担額とは

ところで、役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます)を受け取っていれば、給与として課税されません。

上記の例では従業員の自己負担分を50%として計算しましたが、借上社宅の場合、役員、使用人の自己負担分はどのように計算をすれば、税法上適正に計算されるのでしょうか。ただし、役員と使用人とでは取り扱いが若干異なりますので注意しなければなりません。

役員に貸与する場合、貸与する社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け、それぞれ以下のように計算します。

ただし、この社宅が、社会通念上一般に貸与されている社宅と認められないいわゆる豪華社宅(床面積240平方メートルを超えるもの)である場合は、時価(実勢価額)が賃貸料相当額になります。

※小規模な住宅とは、建物の耐用年数が30年以下の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、建物の耐用年数が30年を超える場合には床面積が99平方メートル以下である住宅をいいます。

(1)使用人に貸与する場合、役員に貸与する場合で小規模な場合は、次の算式によります。
次のaからcの合計額が賃貸料相当額になります。
a (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
b 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3平方メートル)
c (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

(2)役員に貸与する社宅が小規模な住宅でない場合には、その社宅が自社所有の社宅か、他から借り受けた住宅等を役員へ貸与しているのかで、賃貸料相当額の算出方法が異なります。
イ.自社所有の社宅の場合
次のaとbの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。
a (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%
 ただし、建物の耐用年数が30年を超える場合には12%ではなく、10%を乗じます。
b (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%
ロ.他から借り受けた住宅等を貸与する場合
会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記イで算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。

(3)給与として課税される範囲
イ.役員に無償で貸与する場合には、賃貸料相当額が、給与として課税されます。
ロ.役員から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、賃貸料相当額と受け取っている家賃との差額が給与として課税されます。
ハ.現金で支給される住宅手当や入居者が直接契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められないので、給与として課税されます。

次回に続きます)

Image (c) beeboys - Fotolia.com

プロフィール

樋口 秀夫 (ひぐち ひでお)

IAU税理士法人・樋口事務所所長。1952年東京都生まれ、立教大学経済学部経済学科卒。1982年税理士試験合格、1985年6月税理士事務所開業。税理士は税務における納税者の弁護人であるという理念に基づいた業務内容に特徴があり、多種多様な業種のクライアント多数。