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モノと道具を再構築する

2014.04.25

ソーシャルメディアの価値を生かすには、まずはマスメディアでできないことから

徳力 基彦

タダで使い倒すソーシャルメディア

消費者 ソーシャルメディア 生産性 差別化 傾聴 IT 無料 ツイッター

前回は、ソーシャルメディア活用の「傾聴」の話から、ツイッター上の発言が、企業の担当者にとって本当に顧客の声としての意味があるのか?という点について紹介した。

今回はちょっと傾聴の話から寄り道して、そもそものソーシャルメディア活用で中小企業がはまりやすい注意点についてご紹介しておこう。

ここ数年のソーシャルメディアの普及の過程で、日本のマーケティング業界でブームになったのがソーシャルメディア「公式アカウント」設置ブームだ。

公式アカウントとは企業名でソーシャルメディア上に情報発信できる状態を作ること。ローソンのツイッターアカウント、とか、ユニクロのFacebookページ、というようなものがそれに当たる。

ローソン公式Twitter

実際に各ソーシャルメディアの利用者数が増えると、そのソーシャルメディアでの公式アカウントの成功事例も注目されるため、ソーシャルメディアが一つずつブームになるたびに、企業アカウントの設置が注目されてきた。

ツイッターが流行っている→ツイッターに公式アカウントを作ろう。
フェイスブックが流行っている→フェイスブックに公式ページを作ろう。
LINEが流行っている→LINEに公式アカウントを作ろう。
という具合だ。

ただ、この発想の背景にある考え方は、従来のマスメディアを通じた広告やPR手法と実はそれほど変わっていない場合が多い。

要は、
○○雑誌が人気があるらしい→○○雑誌に広告を出そう。
○○番組が人気があるらしい→○○番組に取り上げてもらおう。
という感覚だ。

もちろん、あるサービスが流行っているのであれば、流行っていないサービスに広告を出すよりも、流行っているサービスに広告を出す方が大勢の人にメッセージを届けるには効率が良いかもしれない。

しかし、この大勢の人にメッセージを届けたい、という発想自体がマスメディア発想、マスマーケティング発想と言える。

大勢の人にメッセージを届けたいだけなら、何もわざわざソーシャルメディアを使わなくても、今まで通りマスメディアを使ってやった方が確実に上手くいく。

公式アカウントを作ったことがある人なら分かると思うが、ソーシャルメディアではファンやフォロワーは自力でゼロから集めないといけないのに対し、マスメディアに広告を出せば、記憶に残るかどうかは別として確実に大勢の人に見てもらえる。

ソーシャルメディアが無料だからといって、マスメディアが得意なことを無理にやらせようとするのは実は効率が悪いのだ。

皆さんには、せっかくソーシャルメディアという新しいプラットフォームに手を出すのであれば、マスメディアでは難しいことに挑戦することをお薦めしたい。

そういう意味で、マスメディアでは非常に難しいソーシャルメディアならではの特徴の一つが「傾聴」なのだ。

製品の良さを大勢の人に届けたいのであれば、何もソーシャルメディアの公式アカウントにいきなり飛びつかなくても、マスメディアの広告なりPRなり、選択肢は山ほどある。

ただ、自分の会社の製品やサービスについて、ユーザーがどのような会話をしているかを分析し、ある意味オープンに盗み聞きするというのはソーシャルメディアの登場までは非常に難しい行為だった。

そういう意味で、ツイッターユーザーの偏りという問題があっても、ツイッターの発言を傾聴するという行為は、ユーザーの声の一部を見ることができるという意味で、マスメディアでは得られなかった新しい可能性を見せてくれているわけだ。

ソーシャルメディアという言葉が日本のマーケティング業界で頻繁に使われるようになって、もう5年が経過しようとしているが、いまだにソーシャルメディア活用というと「公式アカウント」を開設し、維持し、ファンやフォロワーをマスメディア並みに増やすことを目指すことが目的だと勘違いしている人が多い。

ぜひ皆さんはその罠にはまらずに、ソーシャルメディアならではの可能性を生かす部分から、ソーシャルメディア活用を始めてみていただきたい。

Image (c) isaacnewton - Fotolia.com

プロフィール

徳力 基彦 (とくりき・もとひこ)

NTTでの法人営業・IR活動等を経て、2006年からアジャイルメディア・ネットワーク運営に参画。2009年2月に同社代表取締役に就任、2014年からは取締役CMOとしてアンバサダーを重視するソーシャルメディア活用の可能性の啓蒙活動に注力。ブログ「tokuriki.com」やコラム執筆などの活動の他、著書に『アルファブロガー』等。