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人を組み替える

2014.03.13

ITの視点から中小企業を元気にする地域のエコシステムを

伊嶋 謙二

ホンネのITマネジメント

成長戦略 人材 学習 IT 費用対効果 教育 エコシステム 地方

中小企業にITの導入を勧めるのには、「誰でも創意工夫でなんとかなる」という話の方が、ウケがいいですね。思い切って大きなお金を投じてかっこいいシステムを作ったといっても、「ふーん、そうなんだ」で流されてしまう。それよりも、「筆を作っていた会社が、ホームページを工夫したら爆発的に売れた」といった話の方が、みなさん真剣に聞いてくださいます。

インターネットを始めるときに勧められてホームページは作ったけれども、それで別に何も変わらないし、何年も更新しないまま放置しているけれども誰にも相談できない、という会社が、特に地方には、何十万社とあります。そもそもどうしてホームページを作ったかといえば、ホームページを作れば企業の信用度が上がるとか、いい人材が採用できると言われて作ったものが多かったと思います。でも、誰も効果は検証していません。むしろ放置して更新していないホームページのほうが信用できないということすら知らない。

経営資源であるヒト・モノ・カネのうち、中小企業の悩みは圧倒的にヒトではないでしょうか。人が入社してくれない、育たない、あるいは育ったらすぐにやめてしまうというところです。大企業のようにブランドを育てる、大きなキャッシュフローを動かす、マーケティングで市場を動かすといった楽しさが少ない中で、何をインセンティブにして人を定着させるか、ということですね。

地方の中小企業になるとさらに問題は深刻です。地方には根本的な問題が存在していて、そもそも地域に人が定着しないという傾向が強くあります。大学を誘致したら若い人が集まるのではないかと考えて大学は作ってみたけれど、卒業しても働くところがないから、優秀な人材は地域には残りません。ITという視点でみても同じで、地方にはITのことを相談したい中小企業はたくさんあるのに、地方でIT企業といえば結局都会の大手ベンダーの二次請け、三次請けになってしまって、地元のお金が地元で回るエコシステムができていない。KDDIの「まとめてオフィス」は、各地で積極的に現地採用してITの提案をできる人材を育て、地方の中小企業にITを売ろうとしています。そうして地方のIT人材が自立できるエコシステムを作ろうとしているのであれば、積極的に応援したいと思います。

地域ごとにITの事情というのは千差万別で、調べていくとある地域のITは電力会社が根っこを押さえているとか、○○県の役所関係はその県に大きな工場を持っているベンダーが高いシェアを占めているとか、いろいろなことが分かります。また、我々のリサーチだけではなく、経済産業省などが行っている調査もたくさんありますが、あまり活用されているとは言えない状況です。この連載では、そうしたデータも活用しながら、地域ごとにITを使ってどのように中小企業を元気にするエコシステムを構築していけるのかを考えていければと思います。

Image (c) kelly marken - Fotolia.com

プロフィール

伊嶋 謙二 (いしま けんじ)

1956年秋田生まれ。矢野経済研究所でのIT産業の調査・研究業務に従事した後、1998年にIT調査会社ノークリサーチを設立し、代表取締役社長に就任。現在に至る。中堅・中小企業(SMB)市場のIT調査を得意とし、SMBのIT利用実態に詳しい。様々な関連業界誌で積極的な執筆も展開中。