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人を組み替える

2014.03.13

地方のインフルエンサーをつかめば儲かる小規模B2Bができる

伊嶋 謙二

ホンネのITマネジメント

効率 地方 成長戦略 意識改革 ベンダー リーダー IT B2B インフルエンサー

ITベンダーにとって、東京、名古屋、大阪は企業が密集しているので、商売も効率的にやれます。それ以外の地方はできるだけ販売店(ベンダーが直接販売するのではなく、仕入れて間接販売する代理店)に任せて、自社では手を出さない。もちろん、工場や保守拠点がある場所などは別ですが。ボリュームは主要都市の主要販売店が主要顧客に売ることで稼いで、あとは官庁や自治体などにそこそこ売れていればいいと考えています。詳細な地方の企業データなども機会があれば今後この場で公開していこうと考えています。

地方の中小企業は誰にもITの面倒を見てもらえません。ITを販売するライバルがいないところに行けば売れるだろうと思いがちですが、売れたとしても果たしてそれで採算が取れるかは疑問です。だから、ITベンダーはそこで商売をしようとしません。おそらく地方中小企業は、ベンダーからの提案を受けたことすら無いと思います。従業員数20人未満の企業なんて、なおさらそうでしょう。

そこで採算を取ろうと思ったら、代表的な販売店でいえば「大塚商会」方式でやらないとうまくいかない。どういうものかというと、彼らはまず、コピー機を売りました。コピー機があるからサポートのために定期的に訪問する口実ができる。訪問したら、用紙やトナーなどのサプライ品を売るだけでなく、パソコンや通信機器なども提案して売っていく。コピー機を売った会社に対して、ストックを積み重ねていくというビジネススタイルです。KDDIの「まとめてオフィス」の場合は、大塚商会のコピー機の代わりにしているのが通信回線で、回線の法人契約があるところに「他のサプライ品もありますよ」という形で提案して売ろうとしていますね。これも、どんな提案ができるかが勝負です。

東京のように企業が密集していればいいのですが、地方では訪問するための効率がよくないので、これまでベンダーは手を出したがりませんでした。でも、中小企業は、「ここで買う意味」をちゃんと教えれば、「値引きしろ」とか言わずに言い値で買ってくれる、良いお客様になると思います。小口取引というのは、売上は小さくても利幅は大きいはずなので、数がまとまればそれなりの利益になるはずです。とにかくITのことならワンストップでここに頼めばいいと思ってもらえれば、「町の電気屋さん」のような頼りにされる存在になれば可能性はあります。一歩踏み込んで「三河屋のサブちゃん」と呼んでもいいかもしれない(笑)。

いったん信頼関係ができてまるごと任せられる相手ができれば、中小企業は浮気しません。少々安い値段で「パソコンだけ売りますよ」という別の業者がいても、普段自社のシステムも社長のパソコンも全部一人で面倒を見ている人には、いざ問題が起きると手に負えなくなりますから、「ものだけ売りに来る」という人には頼みません。

まして、ウェブで調べて新しいベンダーを探すとか、新しいサービスを探すなんてことはしないでしょう。地方の20人未満の企業が新しい情報を仕入れるのは、ロータリークラブや、商工会の集まりといったリアルな場です。その場で、インフルエンサーである○○さんが「このサービスを利用してうまくいったよ」とレビューすると、じゃあうちもやろう、という人は多いと思います。地方でB2Bのビジネスを成功させようと思ったら、このようなインフルエンサー(頼りになる助言者、企業、団体など)を狙うのが鉄則です。

Image (c) kelly marken - Fotolia.com

プロフィール

伊嶋 謙二 (いしま けんじ)

1956年秋田生まれ。矢野経済研究所でのIT産業の調査・研究業務に従事した後、1998年にIT調査会社ノークリサーチを設立し、代表取締役社長に就任。現在に至る。中堅・中小企業(SMB)市場のIT調査を得意とし、SMBのIT利用実態に詳しい。様々な関連業界誌で積極的な執筆も展開中。