トップページインタビューアクティブに生きることを、自ら選んだ。 重要なのは、復職後に続いていく 仕事や人生にいかに立ち向かうかだ。第1回(連載2回)
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アクティブに生きることを、自ら選んだ。 重要なのは、復職後に続いていく 仕事や人生にいかに立ち向かうかだ。第1回(連載2回)

2014.06.03   書籍『「うつ」とよりそう仕事術』著者 酒井一太 氏

酒井一太(さかい・かずもと)氏
酒井一太(さかい・かずもと)氏
1975 年、大阪府生まれ。2007年8 月にうつ病と診断される。その後、2 度の休職・復職を繰り返し、自らの復職体験を公開したブログをベースにした著書『「うつ」とよりそう仕事術』 を 2011年12月発刊。現在は寛解。著書執筆後に転職し、営業職として商社に勤務中
■ブログ「Find the meaning of my life.」http://kazumoto.jp

現在は、うつ病から寛解し、薬を飲むこともなく、元気に生活している酒井一太さん。2度にわたる休職中に、復職後に仕事をしていくための独自の工夫をブログに公開。このブログは、2011年に『「うつ」とよりそう仕事術』として書籍化され、注目を集めた。

酒井さんがうつ病で休職してから、わずか2カ月で復職した後、無理がたたってまた再発するまでの状態や気持ちの変化などについて伺った。
(構成:21世紀医療フォーラム取材班 但本結子 文責:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

仕事最優先の営業マンが、
ある時突然、予兆もなく 不調に陥り、うつ病に

営業の最前線で働く酒井さんは、社内で一番早く出社し、夜は最後に帰ることを苦にしないタイプだった。それほど仕事が好きなのか、機嫌良く仕事をしていたのかと問われると、そうとも言えないが、仕事とはそうしたものだと思っていたという。

ところが、ある時突然、不調に襲われる。

「自分では普通に仕事をしているつもりでも、なぜか周りと歯車が噛み合わない、感情のコントロールができない。それから一晩中眠れずに起きていたかと思えば、突然電池が切れるように眠りに落ちたりする。何だかおかしいと感じながらも、身体の不調としては、微熱というには少し高い熱が続いていた程度です。病院に行く時も、風邪だろうという軽い気持ちでした」。

ところが複数の病院で心因性を疑われ、そんなはずはないと他の内科に行くと、やはり心の問題だと言われる。この時点で、また別の病院に行くのはとても億劫な状態だったが、すっきりさせたいと受診した心療内科で、あっさりうつ病と診断された。すぐには納得できなかったが、医師が説明するうつ病の症状にことごとく当てはまることで、ようやく納得したという。

その後、医師の指示を守り、すぐに休職。この時は比較的症状も軽く、薬がよく効いたこともあり、うつ病について関心を持つこともなく、薬をのんで家でダラダラし、とにかく早く仕事に戻ることだけを考えていたという。

わずか2カ月で復職すると、酒井さんは時間が不規則な営業ではなく、内勤に配置転換され、対人ストレスは大きく軽減した。当時の勤務先の社長がうつ病の部下を持った経験があり、その対処に理解があったためだ。だが、酒井さんの思いは少し違っていた。

「会社の配慮に感謝している一方で、自分としては2カ月も休んだ負い目がありました。自分の存在価値をもう1度認めて欲しい焦りもあり、知らず知らずのうちについキャパオーバーになっていたのでしょう。無理がたたって、また体がおかしくなりました」。

何も何もできないエンスト状態。2度目の休職中にうつ病と向き合う決意

酒井一太(さかい・かずもと)氏
「うつ」とよりそう仕事術
(Nana ブックス)

最初の復職で自らを精神的に追い込む形となり、復職後8カ月で再び休職となった。しかも今度は前回とは明らかに症状が違っていた。ちょっと風邪を引いて休むと、それがずるずると続いてしまう。朝は金縛りにあったように体が動かず、起き上がることができない。

「ほとんどエンスト状態でした。休職する少し前から、うつ病が再発したのではないかという不安が頭を離れませんでした。でも、再発というのも実はおかしな話で、そもそもまだ治療中だったわけです。それはともかく、確実にわかっていたのは、最初にうつ病になった時より、はるかにひどい状態だということ。とても仕事を続けられる状態ではありませんでした」と、酒井さんは振り返る。

2度目の休職中は本当に辛く、最初の1カ月は何もできなかった。とにかく朝はしっかりと目を覚まし、起き上がったら、「取りあえず今日一日は死んだりしないこと、決められた時間にきちんと薬を飲むこと。そして週に1度は医者に行くこと。これだけで精一杯でした」。
ようやく普通に起き上がれるようになり、少し普通の生活ができるようになった時点で、酒井さんは腹を括った。

「しっかりと対策を練らなければ元には戻れない。だから、うつ病とちゃんと向き合おう」。

第1回終わり(第2回に続く)