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パソコンゲームを活用した リワーク・プログラムを提供。 豊富なプログラムで再発防止をめざす 第2回(連載2回)

2014.05.27   構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子
文責:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也

舟橋利彦 氏
ルーセントJ'sクリニック 理事長
舟橋利彦 氏

1955年、愛知県岡崎市生まれ。名古屋保健衛生大学医学部にて精神医学を専攻。

1984年、大学院在学中に、名古屋市金山に仁大クリニックを開設。以降、豊田市郊外に仁大病院、豊田市駅前に仁大駅前クリニック・仁大デイケアセンターを相次いで開き、
2002年、愛知県初の認知症疾患治療病棟、中高年のうつ病専門病棟を開設する。
2007年ルーセントJ’s クリニックを開設。医療法人「明心会」理事長、愛知県精神科病院協会会長ほか、日本精神神経学会代議員、日本精神科病院協会指定医研修委員長、藤田保健衛生大学客員教授を務める


ルーセントJ’sクリニックは、不眠、うつ病、ストレス性疾患など、働く人を対象としたメンタルヘルスのサポートに加え、デイケアによるリワーク・プログラムにも力を入れている。連載2回の2回目は、同クリニック理事長の舟橋利彦氏に、認知機能リハビリテーションの目的や成果などについて聞いた。
(構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子 文責:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

ゲームで認知機能の回復を。
スタッフが介入することで、自ら機能回復の状態を把握

リワーク・プログラムの中で特徴的なものは、グループワークで行う認知機能リハビリテーション
「NEAR(Neuropsychological and Educational Approach to Cognitive Rehabilitation)」だ。これは、国立精神・神経医療研究センターの中込和幸氏が鳥取大学医学部に勤務していた当時、米国から取り入れた認知矯正療法である。もともとは統合失調症患者のために開発されたものだが、気分障害における効果も発表されており、名古屋大学教授の尾崎紀夫氏の勧めもあって同クリニックでも取り入れたという。

このプログラムは具体的に次のような形で進んでいく。

作業療法士1人に患者が3人ほどでチームを組み、パソコンのゲームソフトを使う。単にゲームをするのではなく、患者の作業に対して、資格を持った治療者であるスタッフが介入することが大きなポイントだ。スタッフは、「注意」「記憶」「処理速度」「遂行機能」など、仕事をしていく上で必要な認知機能の状態を患者に認識してもらったり、その機能を刺激したりする介入を行う。約30分を個別の作業と治療者への作業療法士の個人介入に用い、その後10分程度は日常生活で認知機能がどのように利用されるかをみんなで話し合い考える。

同クリニックでは、このプログラムに最適な患者を選んで取り組んでもらっている。

「自分の認知の具合の悪さが明らかになることにがっかりしたり、抵抗したりもされますが、作業療法士の介入やスタッフの励ましに助けられて、多くの人が興味深く取り組んでいます」と、舟橋氏はその成果を述べた。

リワーク・プログラムで人の多様性を理解させ、
復職と再発防止につなげる

「うつ病については、これまでずっと『励ましてはいけない』『働きかけをしてはいけない』といわれてきました。しかし、例えば骨折した場合を考えてみてください。痛みが取れた段階できちんとリハビリをしておかなければ元通りに動かなくなります。うつ病もそれと同じです」と舟橋氏は言う。つまり身体的な怪我と同様にうつ病にもリハルーセントJ’s クリニックビリが必要で、そのリハビリに相当するのがリワーク・プログラムである。

舟橋氏によれば、不安や焦燥感、希死念慮などが改善され億劫感だけが残っている段階ではリワーク・プログラムをやるべきで、それが円滑な社会復帰のためには望ましいという。加えて、「ただし、復帰するだけでは十分とは言えません。大切なのはいかに再発を防ぐかです。企業にとっても最大の悩みは再発した場合の対応です」とその課題についても述べる。

同クリニックが2007年にリワーク・プログラムを導入以来、これまで入所者の78%が完全に復職を果たしている。ただ年数がそれほど経っていないため、再発率までは把握できていないが、「現在、登録者は42人で、そのうち再発で通院している人が4人。再発者のサポートについては、メディカルケア虎ノ門院長の五十嵐氏のアドバイスを受けながら対応を進めている段階です」という。

同クリニックがリワーク・プログラムに認知行動療法やロールプレイを取り入れているのは、復職後の再発防止を視野に入れているためだ。

「復職後を想定すれば、他人との交渉やコミュニケーションの方法をシミュレーションしておくことが重要です。人それぞれに考えが違っていること、自分とは異なる考え方を持つ人が大勢いること、同じ状況であっても自分とは違う対応があり得ること。こうした多様性を認められるようになると、職場でもうまく適応できるようになります」。

ルーセントJ’sクリニックには、再発防止までを考慮しながら、質・量ともに充実したプログラムがあり、それを実施する体制が整っているといえる。

第2回終わり(2回連載)