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数少ない大学病院のリワーク・プログラム。医療機関同士の連携で地域に貢献 第1回(2回連載)

2014.04.08   構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子
文責:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也

平安良雄 氏
横浜市立大学附属市民総合医療センター 病院長
平安良雄 氏
1961年、沖縄県生まれ。
岡山大学医学部卒業、同大医学部大学院修了。
琉球大学医学部精神神経科講師、ハーバード大学医学部精神科客員助教授、杏林大学医学部精神神経科助教授を経て、
2003年より横浜市立大学大学院医学研究科精神医学部門主任教授。
2010年より同大学附属市民総合医療センター病院長。
精神保健指定医。
専門領域は神経画像学、臨床精神神経薬理学。
医学博士

横浜市立大学では、金沢区の附属病院においてデイケア(復職支援ショートケア)を行っている。連載2回の1回は、これを指揮する横浜市立大学附属市民総合医療センター病院長の平安良雄氏に、デイケアの概要や特長などについてお話を伺った。
(構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子 文責:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

大学病院のメリットを活用。
医療従事者の質と数が強み。
地域医療機関とも連携

同院のリワーク・プログラムの特徴について平安氏は「医療従事者の質の高さと数の多さという大学病院ならではの強みを生かせる点にある」と解説した。

平安氏によれば、大学の精神科で統合失調症などを対象としたデイケアを行っている機関は以前からあったが、うつ病を対象としたデイケアを行っている機関は多くはないという。

加えて、地域的な特徴として、他の医療機関との連携についても挙げた。

横浜市には、大学、県立病院、民間の病院、開業医、市の関連施設など、リワーク・プログラムを行っている機関同士の間でネットワークがあり、「組織間で、ある程度顔が見える関係ができているため、お互いに問題点を持ち寄って相談しながらやりましょうというシステムが構築されている」という。

横浜市はリワークの成功率が高いと言われるが、それはこうした医師の連携が大いに功を奏していると平安氏は見ており、「これをもっと強化し広めていくべきだ」と考えている。

「全ての医療機関がリワーク・プログラムを導入しなくても、どこに行けばリワーク・プログラムにアクセスできるかを知っている、またはプログラムを行っている機関を紹介できるという環境ができれば、患者にとっての利益になる」と平安氏は分析する。

3本柱で構成されたプログラム。
与えられた課題に対して頭を使い続け作業をやり通す

リワーク・プログラムの対象者は、数カ月後に勤務先への復職を希望している休職者。休職期間が過ぎ、ある程度症状が改善したタイミングで参加することを想定し、担当の医師、心理士、ソーシャルワーカーがチームを組んで支援に当たる。プログラムが行われるのは、月・水・金の午前中で、期間は3カ月である。

特徴的なのは3つの柱で構成されたプログラムである。1つ目は、「認知療法」。自分のものの見方や考え方のパターンを知り、現実の状況に適応できるよう修正していくというものだ。

2つ目は、「生活技能訓練」で、特に対人関係のトレーニングによってコミュニケーションスキルなどを身につけることを目的としている。

そして、3つ目が「作業療法」だ。具体的にはメンタルヘルス関連の本を1冊読んで要点をまとめる、さらにそれを発展させて仕事関係の本を読むなど、オフィスワークに近い能力の回復トレーニングを行う。

平安氏は、「実際に職場復帰したときに直接役に立つかどうかではなく、とりあえずいろいろな課題を与え、頭を使い続け何かしら作業をやり通すことが肝要」だという。つまり、好きな作業ではなく、与えられた課題をこなしていくことが重要となる。

またプログラムの最後には、病気を理解するための「心理教育」も行っている。

「患者は、体調の自己管理をしていかなければなりません。どうして自分が病気になったのか。今後はどのように生きていけばいいのか。社会生活や家庭生活、そして社会の中で生活していくために、どのようなことに気をつければいいのかといったことを学んでいきます」。

第1回終わり(第2回に続く)