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ホワイトカラー専門の リワーク・プログラムを提供 第2回(2回連載)

2014.03.18   構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子
文責:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也

医療法人社団惟心会 りんかい月島クリニック 理事長 吉田健一 氏
医療法人社団惟心会 りんかい月島クリニック理事長 吉田健一 氏
1999年 千葉大学医学部卒業。
東京医科歯科大学医学部附属病院精神科、東京都立荏原(現・公立荏原) 病院精神科、千葉県がんセンター緩和医療科医長、千葉県精神科 医療センター医長などを経て現職。
医療法人社団惟心会理事長。
2013年6月りんかい月島クリニック開設予定。
精神保健指定医・判定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医
医師 吉田麻衣子 氏
医師 吉田麻衣子 氏
2003年 日本大学医学部卒業。
2013年 東京大学大学院公共健康医学専攻卒業。
北海道大学医学部附属病院精神科、千葉県精神科医療センター、東京都中部総合精神保健福祉センターなどを経て、りんかい豊洲クリニック・りんかい築地クリニック医師。
精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医

精神科専門医である吉田健一氏と吉田麻衣子氏は、2009年に復職支援専門の「りんかい築地クリニック(2013年6月、月島へ移転)」を開院した。同クリニックはホワイトカラーを主な対象としており、都心からのアクセスも良くオフィスの内装を模している。 連載2回の2回目は、リワーク・プログラムを実施する中での課題などについて聞いた。
(構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子 文責:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

復職後の挨拶まわりや飲み会への対応方法をグループミーティングで伝授

復職が近づいた患者には、別途グループミーティングを設けて、復職直後の社内での挨拶まわりの仕方、病気だったのかと聞かれた場合の答え方、飲み会に誘われた場合の答え方などのテーマを議論したり、ロールプレイで上司や同僚の立場を疑似体験したりする。

グループワークは2~3カ月目ごろからスタートする。最初は心理的にも作業量的にも負荷の小さいプレゼンテーションから始め、徐々に負荷の大きいプレゼンテーションやディベートへと進んでいく。この時、参加者の回復度のレベル判断も行っている。ディベートのテーマも参加者の回復度に合わせた上で、政治的、宗教的なものを排除して設定する。健一氏は、「グループワークを通して、診察室で診ているだけではわからない患者本来の病状が見えてくることも多い」と、その目的を述べる。

企業の勤務経験者も医療スタッフとして起用

同クリニックでは、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士など精神科デイケアの施設基準に則った有資格者をスタッフに揃えているが、この中には企業勤務経験者も起用している。

その理由について吉田麻衣子氏(以下、麻衣子氏)は「一般的に医療人は会社組織に詳しくありません。統合失調症などとは異なり、うつ病の復職支援の場合は医療の視点で愛護的・保護的に患者を見守るだけでは企業に戻すことは難しい。スタッフは専門職としての知識や技術を備えた上で、患者が社会人として当然身につけておくべき社会規範はどのレベルか、そもそも社会の一員として働くとはどういうことかという視点を持って患者に接することが必要です」。

したがってスタッフの資格としては産業カウンセラーやキャリアコンサルタントなど、産業界でも通用する資格が望ましいという。またこれらの資格を持つスタッフをうつ病治療を行う医療機関が雇用できるように、こうした職種に対する診療報酬が認められることが重要だとも指摘している。

回復度合いを数値化した評価表月1回作成して、患者と企業・医療者が情報を共有

リワーク・プログラムにおける回復度合いの評価は評価表で行う。月1回、評価表を作って患者に渡し、それを企業の担当者に見せてサインをもらってくるように指示する。回復の経過を企業側に見てもらうことで本人の取り組みが変わってくるからだ。

評価表は、いかに回復度を客観的に数値化するかがポイントになる。健一氏は、上司と一緒に回復度が経時的に確認できるグラフのようなものであることが望ましいが、客観的指標については、どの医療機関でも試行錯誤中であると述べた上で、「今後リワークの診療報酬を策定するにあたって、評価のあり方は大きなテーマの1つとなる」と見ている。

評価時の留意点は、患者の現状と次なる目標をスタッフと患者本人が共有することだ。

「6カ月は決して短くはありませんが、一方で目標に向かって着実に進んでいかなければ復職準備が間に合いません。この点は常に意識するようにしています」と麻衣子氏は言う。

ちなみに同クリニックでは、休職中であっても緊張感を欠くような服装は復職プログラムにはそぐわないという観点から、勤務時に準じた服装で通うよう指示している。