トップページリワーク医療機関に聞く失敗の経験から生み出した独自のリワーク・プログラム 第1回(2回連載)
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失敗の経験から生み出した独自のリワーク・プログラム 第1回(2回連載)

2014.02.25   構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子
文責:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也

五十嵐良雄 氏
メディカルケア虎ノ門 院長
五十嵐良雄 氏
1976 年 北海道大学医学部卒業。1976 年 埼玉医科大学精神医学教室助手。1984-85 年 イタリア・ミラノ大学、オランダ・ユトレヒト大学留学を経て1988 年 秩父中央病院理事長院長。2003年 メディカルケア虎ノ門院長。2008 年 うつ病リワーク研究会代表世話人[公 職]日本うつ病学会評議員 日本産業精神保健学会理事 日本外来臨床精神医学会常務理事 など

メディカルケア虎ノ門は、2005年に日本で初めてうつ病を対象とした終日型リワーク・プログラム「リワーク・カレッジ®」を始めた先駆的な医療機関である。 連載2回の第1回目は、復職のタイミングや問題、リワーク・プログラムを始めるに至った経緯などについて、同クリニック院長の五十嵐良雄氏にお話を伺った。
(構成:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子 文責:21世紀医療フォーラム事務局長 阪田英也)

主治医にとっての課題は、復職のタイミングの見極めと再休職の防止

院長の五十嵐氏は、うつ病患者の復職時において、「復職させるタイミングの判断が非常に難しい」「再休職が多い」ことの2点を挙げた。

休職中の患者は休職期限が決まっているため、その期限までに復職できるよう診断書を書いてもらおうとして、医師の前では回復したように振る舞う。それを見た医師は回復したと診断し、復職を認める診断書を出してしまう。ところが実際に復職させてみると、満足に出社できず、すぐに再休職してしまうといったことが度重なり、その結果、「医者の復職可能という診断書は、ほとんどあてにならない」とまで言われるようになってしまった。

開業後1年間で復職に失敗する患者を多く診た五十嵐氏は、その原因を考えていたときに、NTT東日本関東病院で精神神経科の部長を務める秋山剛氏の施設を見学し、そこで集団で作業療法を行っている様子を目にする。

「卓球をしたり、パソコンに向かってキーボードを叩いたりする患者の姿を見て、“あっ、これだ!”と直観的にひらめいた」という五十嵐氏は、早速クリニックと同じビルの空いていたフロアを借り、デイケアを始めた。

支え合う仲間が回復を促す。集団を扱う上でのカギは、均一であること

ひらめきで始めたという五十嵐氏だが、これがうまくいった。その理由の1つは、このリハビリが、同じ病気、同じ目的で通所している仲間という集団を対象にしている点である。仲間の中で癒やされたり、さまざまな情報交換をしたり、医師と1対1では決して話さないようなことも仲間には話しているという。

「集団でデイケアを行うことの意義は、支え合う仲間の存在があることです。医療者側にとっても多数の中での行動を見ることで診断も確かになります」と、五十嵐氏は分析する。

集団を扱う上で大切になるのが、“均一であること”だ。患者は同じ病気で、あくまでも職場に戻ることを共通の目的としているので、これから仕事を探すという人が入ると目的がぼやけてしまう。五十嵐氏は、「どれだけ均一の集団を作れるか、そしてプログラムで実際に何を提供するかが重要になってくる」という。