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大学病院におけるうつ病治療2

2014.02.18   帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授 張 賢徳

帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授 張 賢徳氏
1991年 東京大学医学部医学科卒業後、帝京大学医学部精神科学教室入局。1997年 英国ケンブリッジ大学精神医学博士号取得。同年、帝京大学医学部附属市原病院精神神経科講師。1999年 帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・講師、2004年 同科長・助教授。2008年より現職。
■公職/日本自殺予防学会常務理事 日本臨床死生学評議委員 日本うつ病学会評議員 日本外来精神医療学会常任理事 日本精神衛生会機関誌「心と社会」編集委員長 多文化間精神医学会理事

7回目のコラムも、前回に引き続き、認知行動療法を行う上での注意点、復職準備のためのリワーク・プログラムについてお話します。

認知行動療法で
考え方や思考パターンを変えていく

認知行動療法とは、自分の考え方のパターンをカウンセラーと共に状況分析を通じて洗い出し、より良い方向へと修正していく部分(ターゲット)を決めて日常生活の中で修正の取り組みを行っていく治療法です。これを繰り返し行うことで考え方や思考パターンを変えていく極めてロジカルな治療方法であり、日常生活が治療実践の場になります。つまり能動的なカウンセリングですから、動けないうつ状態では適用できません。宿題もたくさん出ますし、それができるだけの気力・体力が必要です。

もともとこの認知行動治療法は、物事をロジックに考える習慣がある欧米で開発されたため、「感情」と「考え」が一体化している日本人には合わないのではないかという意見があります。その反面、認知行動療法の専門家は、だからこそ感情と考えを分けて認識できるようになるべきだとも指摘しています。

日本でもようやくこの治療法が注目されるようになりましたが、一気に知名度が上がったのは、英国で軽症うつ病に対して最初に行うべき治療のガイドラインとして採り上げられてからです。英国では日本より公的保険が充実しており、認知行動療法も無料で受けられるものの、それは患者さんへの配慮からというよりも、医療財政の節約という観点が大きいと思います。公的保険で行われる認知行動療法は回数制限が設けられており、値段の高い抗うつ薬を期限なしに使い続けることに比べれば、保険の負担が小さいという国の財政上のメリットがあるわけです。

「うつ」のための集団認知行動療法スケジュール
「うつ」のための集団認知行動療法スケジュール

玉石混合のリワーク・プログラム
課題は退職者の社会復帰

近年、職場の環境を想定したリワーク・プログラムを実施する機関が増えてきました。復職に向けたリハビリになることから、企業の中にも復職の条件として受講を義務付けているところが多数あります。当院でも通いやすいところ、入りやすいところを紹介していますが、1~2年前に比べ、紹介先は増えてきています。ただし数が増えた分、玉石混交的な面もあるため、職場を設定したプログラムがあり、成績表などをフィードバックしているところをお勧めしています。

また、リワーク・プログラムは勤務先への復職を前提としているため、退職してしまった人は原則として受けられません。今後はそうした人たちをどう社会に復帰させていくかが大きな課題であると考えています。