トップページコラム「若者のうつ病」を考えるうつ病を再発しないために
Good Doctor NET AGING Web 宇治おうばく病院 うつ病~こころとからだ 話してみよう うつの痛み うつ病・認知症コンソーシアム 冊子バナー 特別協賛:シオノギ製薬 ココ朗くん

うつ病を再発しないために

2014.01.21   帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授 張 賢徳

帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授 張 賢徳氏
1991年 東京大学医学部医学科卒業後、帝京大学医学部精神科学教室入局。1997年 英国ケンブリッジ大学精神医学博士号取得。同年、帝京大学医学部附属市原病院精神神経科講師。1999年 帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・講師、2004年 同科長・助教授。2008年より現職。
■公職/日本自殺予防学会常務理事 日本臨床死生学評議委員 日本うつ病学会評議員 日本外来精神医療学会常任理事 日本精神衛生会機関誌「心と社会」編集委員長 多文化間精神医学会理事

うつ病におけるもう1つの大きな問題として、復職は果たしたものの、再発する人が多いことが挙げられます。4回目は、うつ病から回復しつつあるときから、実際に復職するまで、どのようなことに注意すべきかを考えます。

完治するまで1~2年
地盤が緩い状態であることを理解して

回復のプロセスは一直線に完治に向かうものではありません。寛解状態は、いわば地面は平坦にはなったけれど地盤は緩いという状態です。地盤が固まるまで、つまり完治するまで1~2年はかかります。その間に復職はできますが、地盤が緩いことを本人も周囲も理解してください。企業によっては、100%回復してから復職するようにという厳しいところもありますが、それは、うつ病治療では無理なことです。最初は仕事量を抑え、職場環境に慣れながら地盤を固めていく、そのプロセスをみんなが支えることが重要です。

一方、復職する本人は残業制限をかけてもらうなど、会社に仕事量を抑える配慮を求めてください。「他の人が残業しているのに、自分だけ早く帰るのは…」と躊躇する人もいますが、それができなければまた再発してしまいます。そのために適切な自己主張ができるよう訓練する、「アサーション(assertion)」という自己表現法もあります。

誰でも罹る可能性があるうつ病
互いに支え合う精神の共有を

ただ、欧米のような契約社会ではない日本では、「残業はできません」と言い出すことは難しいでしょう。角が立たないような日本版マニュアルが必要だという意見もあるようです。確かにそうしたマニュアルがあればいいと思いますが、実際に角が立たない残業の断り方というのは難しい話です。むしろ人は誰でもうつになる可能性があるので、なってしまった人をサポートし、その人が良くなったら次の誰かを助けるという互助の精神を共有することが大切です。

大企業であれば比較的仕事の少ない部署に戻すこともできるかもしれませんが、ギリギリの人数で経営している中小企業などでは、それも難しいでしょう。会社の置かれた状況もわかるので、主治医としては辛いところです。この点について、一精神科医としては解答を持ち合わせていません。