トップページコラム「若者のうつ病」を考える叱咤激励より、見守りを
Good Doctor NET AGING Web 宇治おうばく病院 うつ病~こころとからだ 話してみよう うつの痛み うつ病・認知症コンソーシアム 冊子バナー 特別協賛:シオノギ製薬 ココ朗くん

叱咤激励より、見守りを

2014.01.14   帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授 張 賢徳

帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授 張 賢徳氏
1991年 東京大学医学部医学科卒業後、帝京大学医学部精神科学教室入局。1997年 英国ケンブリッジ大学精神医学博士号取得。同年、帝京大学医学部附属市原病院精神神経科講師。1999年 帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・講師、2004年 同科長・助教授。2008年より現職。
■公職/日本自殺予防学会常務理事 日本臨床死生学評議委員 日本うつ病学会評議員 日本外来精神医療学会常任理事 日本精神衛生会機関誌「心と社会」編集委員長 多文化間精神医学会理事

これまで現代型うつ病は病気か否かに焦点があたり、これを切り捨てる傾向にありました。しかし、その存在が無視できなくなってきたことから、企業が受け入れられるよう病気として分類し、対応策についても提示するべきという意見も聞かれるようになりました。3回目は、企業の対応について考えます。

時代が生み出した現代型うつ病

現代型うつ病は、少子化やゆとり教育、そして便利すぎる世の中で育った人たちに見られやすいうつ病のタイプで、個人の問題というよりも、時代が生み出したものだといえます。生まれた時から何でも揃っていて、食べ物も電子レンジでチンすれば食べられる。自分で探索する必要がない社会で育った「電子レンジ万能世代」が、職場でいきなりアドリブを求められても、できないのは不思議ではありません。

また子ども時代に辛い経験もしていないため心の抵抗力が弱く、負荷がかかるとすぐ折れてしまう。そうした人たちを根性がないと叱咤激励しても逆効果でしかありません。指導者がそれを理解した上で、関与しながら、認めながら、見守っていくことが重要です。

企業は社会の一員である認識を
個人は心の抵抗力を高める

一方で、社会は厳しさを増していて、新入社員を手取り足取り指導している余裕はどこの企業にもありません。しかし、企業は慈善団体でもなく福祉事業でもないので、うつ病になった人が回復するのを根気よく待てないというのが本音でしょう。確かに企業としてはその通りでしょうが、社会全体として考えれば、世の中は強い人ばかりではないことを認識することがポイントです。企業も社会の一員であるという認識が必要です。

個人の側としては、会社は学校生活の延長ではなく、社会に出れば辛いこともあるとあらかじめ認識しておくべきです。そのためにも、学生時代に友人関係やクラブ・サークル活動などを通じて、心の抵抗力をつけておいてほしいと思います。そして入社後は、困った時にはSOSを発信すること、利他の意識を持って「情けは人のためならず」を実践し、人間関係の絆を作ることが大切です。