トップページコラム「若者のうつ病」を考える現代型うつ病への対応
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現代型うつ病への対応

2014.01.07   帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授 張 賢徳

帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授 張 賢徳氏
1991年 東京大学医学部医学科卒業後、帝京大学医学部精神科学教室入局。1997年 英国ケンブリッジ大学精神医学博士号取得。同年、帝京大学医学部附属市原病院精神神経科講師。1999年 帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・講師、2004年 同科長・助教授。2008年より現職。
■公職/日本自殺予防学会常務理事 日本臨床死生学評議委員 日本うつ病学会評議員 日本外来精神医療学会常任理事 日本精神衛生会機関誌「心と社会」編集委員長 多文化間精神医学会理事

「新型うつ」と呼ばれる若者のうつ病は、単なるわがままや甘えという批判も多く、人事労務担当者の中にも批判的な捉え方をする人が少なくありません。2回目は、医療者として彼らにどのように向き合っているかについて、考えていきます。

うつ病への理解が病気の自覚につながる

若い患者さんの症状を診ていると、確かに単なるわがままなのか、病気なのかを判断するのが非常に難しいときがあります。しかし1つ言えるのは、例えば、休まずにきちんと出勤していた人が休みがちになった、遅刻が多くなったなど、以前はできていたことが、ある時からできなくなってきたのであれば、うつ状態など何らかの変調が始まっていることになります。うつ病の診断基準で症状をチェックし、それに合致するレベルなら、うつ病として捉えて適切な治療が必要です。

軽症レベルではエネルギーはまだ残っているため、平日は具合が悪くて仕事はできないが、休みになるとストレスがなくなるので外出できる。こうした行動も批判の対象になりますが、精神科医の立場でみればこれはむしろ当たり前のことです。
また、軽症レベルなのに、なぜ病院に行くのかという批判もありますが、軽症レベルで病院に来るのは悪いことではありません。どんな病気も早期発見が大切ですから、うつ病だけが例外というのはおかしいでしょう。

企業から依頼された講演でこうした話をすると、「先生の話を鵜呑みにしたら世の中はうつ病だらけになってしまう」と怒る人がいます。確かにうつ病についての認識を広めれば、うつ病が増えるという見解はあります。しかしそれは、うつ病という病気の存在を知ることで世の中全体が弱くなったのではなく、すでに辺縁にいる人たちが多くいて、「自分は病気かもしれない」と自覚するのだろうと考えています。

元気の真ん中にいる人は、自分がうつ病かもしれないとは思いません。そう思うのは、うつ病と健康のギリギリの境目にいる人たちです。彼らがそのまま頑張り続けて、ある日突然ぽっきり折れて自殺してしまうより、きちんと治療を受けて健康になる方がずっといいはずです。

カウンセリングと薬による治療が必要

現代型うつ病は、広い意味で性格が発症に関与していると考えられるので、長い目で見るとカウンセリング的な対応が必要になります。しかし、認知行動療法のようにスタンダードな1セット10~15回コースで対応できるものではなく、もっと長期的に支える必要があります。また重症度が一定レベルになれば、抗うつ薬による治療も不可欠です。