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芸術行動療法を採り入れた リワーク・プログラムで意欲と自信を取り戻す 第1回(2回連載) (2/2)

2013.10.09   取材:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子
文責:日経BP社21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブ・プロデューサー 阪田英也

スポーツや作品作りで自信を取り戻す。
成功体験の積み重ねがカギ

リワーク・プログラムへのニーズの高まりを受け、榎本クリニックでもプログラムを実施している。その特徴は、9~19時までのデイナイトケアでも実施している点だ。6時間のデイケアでリワーク・プログラムを行う医療機関が多い中で珍しいケースだが、深間内氏によれば、「1日10時間というのは実際の職場に近い環境で、これに慣れておくことで、スムーズな職場復帰にもつながりやすい」という。

プログラムの内容はパソコン作業や読書など、個人で取り組むオフィスワークのほか、疾病理解の講座やグループミーティングなど、集団で行うものもある。中でも特徴的なのは、同院が2004年から取り組んでいる芸術行動療法だ。

これは、運動や作品制作といった非言語的な表現活動を通じ自分の悩みを表現したり、ストレスを発散させたりする活動を指す。フットサル、ボクシング、ゲートボール、卓球、和太鼓、よさこいなどの運動系と、囲碁、将棋、テーブルゲーム、クラフト、書、絵画などの文化系があり、患者自身が取り組みたいものを選んで取り組む。ほとんどの活動は、クリニック内の専用スペースで行うが、フットサルなど外部のグラウンドを利用する場合もある。いずれの活動も、週に3コマ、クリニックのスタッフ参加のもとで行い、専門的な種目は、外部から講師を招いて指導してもらうなど、かなり本格的な内容だ。

初めて取り組む場合は、お試し期間として体験参加もできるが、1度やると決めたら、最低同じ種目を3カ月は継続して取り組むことが求められている。また、クリニック内のイベントでの発表や試合への参加もあり、目標を掲げて取り組む体験にもなっている。

このプログラムのユニークな点は、うつ病以外の患者も一緒に参加している点だ。前述したように同クリニックには、復職を目指すうつ病患者をはじめ、統合失調症や依存症などの患者も通院しているが、芸術行動療法は病気の枠を超えて、さまざまな症状を抱えた患者が一緒に取り組んでいる。当初は、症状のレベルや処方薬も異なる人たちを一緒にすることに不安もあったそうだが、実際に始めてみると、患者側から、「さまざまなメンタルで悩んでいる人がいることがわかった」「自分を客観的に見ることができた」という声が寄せられ、好評を得ている。

また、回復度の高い人たちが他の人をサポートするなど、グループの中でお互いに助け合うようになり、協調性を養う機会にもなっているという。

もともと芸術行動療法は、統合失調症の治療の一環として取り組んでいたが、それをうつ病など他の病気の治療にも活用するようになった。その理由について深間内氏は次のように説明する。 「心と体は一体化しているので、統括的に考えることが大切です。体力がついて元気になると心もついてきます。また、うつ病の人は自信を喪失しているため、小さな課題をクリアする成功体験を積み重ねることで、自信や希望につながります」。

実際、ある女性のうつ病患者は、ボクシングに取り組んだ結果、基礎体力がつくと同時に精神面でも安定した。スパークリングをすることで、気分の落ち込みや罪悪感から解放され、感情や衝動性のコントロールにもつながっていったという。

第1回終わり(2回に続く)