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「新型うつ」とは

2013.03.26   帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授 張 賢徳

帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・教授 張 賢徳氏
1991年 東京大学医学部医学科卒業後、帝京大学医学部精神科学教室入局。1997年 英国ケンブリッジ大学精神医学博士号取得。同年、帝京大学医学部附属市原病院精神神経科講師。1999年 帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科科長・講師、2004年 同科長・助教授。2008年より現職。
■公職/日本自殺予防学会常務理事 日本臨床死生学評議委員 日本うつ病学会評議員 日本外来精神医療学会常任理事 日本精神衛生会機関誌「心と社会」編集委員長 多文化間精神医学会理事

「新型うつ」と呼ばれる若者のうつ病があります。その特徴として、「他罰性」と、会社には行けないが遊びには行けるといった「選択性」が挙げられます。
1回目は、周囲の共感が得にくい、若者のうつ病の背景や対応について考えていきます。

カウンセリング万能視に疑問

うつ病の診断には国際的な基準があり、9つの基準症状のうち5つ以上が2週間以上続けば、大うつ病と診断されます。

この状態なら、どのタイプのうつ病であれ、医学的な治療を考えた方がいいでしょう。

では、それよりも軽いうつ状態には、医学的治療は必要ないのでしょうか。軽症であればあるほど診断は難くなりますが、少なくとも「元気とはいえない」状態にあるのは確かで、何らかの対応を考えねばなりません。

軽いうつ状態のとき、その原因であるストレスを除けば、積極的に薬を投与しなくても回復するケースはあります。早期発見と早期対応が重要であることは言うまでもありませんが、「軽度のうつ病には、カウンセリングだけでいい」という風潮には疑問を感じます。カウンセリングはもちろん重要ですが、万能視は行き過ぎです。実際に、軽度のうつ状態と診断され、カウンセリングを受けてもなかなか回復しない患者に投薬したところ、回復したケースもあります。

「新型うつ」の特徴とは

軽度のうつ病としては、最近の若者のうつ病があります。「新型うつ」の名で広く知られるようになりましたが、その特徴として、責任の所在を自分以外の誰かに求める他罰性と、会社には行けないが遊びには行けるといった選択性が挙げられます。周囲の共感を得にくく、メディアでも厳しい論調が見られ、人事労務の担当者の中にも、「すぐに休む社員がいる」と批判的な捉え方をする人が少なくありません。

若者の軽症うつには、叱咤より支援を

しかし、「甘やかすな」という見方は短絡的です。現代の若者は少子化の中で大切に育てられ、叱られた経験も少ないため、厳しさを知らない人が多く見受けられます。つまり、彼らは現代社会が生み出したものともいえます。

こうした現実を踏まえ、うつ病状態のときは、原則として仕事の負荷の軽減も必要です。また、予防的には、新型うつ病の患者には、見守り、励まし、認めるといった支援の姿勢で接することで、成長を促すことが重要であると考えます。