トップページうつ病治療を考える強い不安を伴ううつ病
Good Doctor NET AGING Web 宇治おうばく病院 うつ病~こころとからだ 話してみよう うつの痛み うつ病・認知症コンソーシアム 冊子バナー 特別協賛:シオノギ製薬 ココ朗くん

強い不安を伴ううつ病

2012.10.23   東邦大学医療センター佐倉病院 メンタルヘルスクリニック臨床心理士
浅海敬子氏

東邦大学医療センター佐倉病院 メンタルヘルスクリニックの臨床心理士である浅海敬子氏に、認知行動療法について5回にわたり連載していただく4回目の記事をお届けする。

浅海敬子氏
浅海敬子 氏
早稲田大学卒業、商社および文部省外郭団体職員を経て、横浜国立大学研究科・教育心理学修士課程修了。臨床心理士.総合病院精神科での心理療法を基本としつつ、スクールカウンセラー、企業EAPなどを兼務。現在、東邦大学医療センター佐倉病院 メンタルへルスクリニック臨床心理士、東邦大学理学部講師、「心の相談室 Q’s Office」主宰。

うつと不安障害は併存しやすい

うつ病の症状の1つに“漠然とした不安”が挙げられますが、うつ病は同時に何らかの診断名がつく不安の障害を併せ持つことも少なくありません。今回は、そうした強い不安や不安障害を併発した際に、認知療法的にどのように取り組むべきかについて、ご紹介します。

不安の障害では、ただ単に頻繁に不安を感じるのではなく、不合理だったり、自分でも理由がわからなかったり、その障害に特有の恐怖が繰り返し襲ってきます。「社会不安障害」では周囲から否定的な評価を受ける恐怖であり、「パニック障害」や「広場恐怖」では心身の重大な病気や、それによる破綻の恐怖です。このような不安の障害では、自然な生理的身体反応を誤って判断することや、周囲の状況を歪んで捉える認知の偏りが大きく影響するため、まずは不安症状が起こる仕組みを理解することが必要です。

不安症状はどのようにして起こるのか

私たちは脅威や危険につながる情報を受け取ると、?自分にとってどの程度脅威・危険であるか、嫌悪すべきものか、?自分はどの程度それをコントロールできるか、という認知的評価を下します。これと共に、?自分が脅威や危険に対して、習慣的にどの程度強い反応を起こすかという要素が加わり、心身の反応程度が決まります。つまり、これらの3要素により、身体は交感神経の働きで自動的に「逃げるか、闘うか」の反応を起こすと同時に、心では不安を感じるわけです。

この状態は、下図のような強いストレス状態にある身体が、危険から自分の身を守るため、逃げるか闘うかする際に、必要な生理的準備を整えている状態です。すなわち、心悸亢進(動悸)、呼吸促迫(軽い過呼吸)と、それに伴う呼吸困難・窒息感・胸部不快感・しびれ・めまい・ふらつき、腹部の不快・嘔気・口渇、筋緊張、緊張性震え、ほてり・冷や汗などです。

ストレスと心身相関
図-1 ストレスと心身相関(クリックすると拡大します)

これらの身体反応は、脅威や危険に対する自然な生理反応ですが、例えば、社会不安障害では、赤面や発汗、ふるえといった症状として自覚されると、それによってさらに対人的な評価を下げる可能性を感じて不安を強め、さらに生理反応を強めるという悪循環が起こります。また、パニック障害では、こうした生理反応が重大な病気の予兆ではないかという不安を強め、さらに生理反応を強める悪循環につながります。結果として、不安の障害ではこの悪循環が症状を進行させるといえます。