トップページインタビュー「震災から1年半を経ての心のケア」プレスセミナーを開催 第1回(2回連載)
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「震災から1年半を経ての心のケア」プレスセミナーを開催 第1回(2回連載)

2012.10.23   取材:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子 文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブ・プロデューサー 阪田英也

丹羽真一氏
丹羽真一氏
福島県立医科大学会津医療センター準備室(精神医学)教授
村上典子氏
村上典子氏
神戸赤十字病院心療内科部長

東日本大震災から間もなく1年半となる2012年9月6日、東京・丸の内の三菱ビルコンファレンススクエア エムプラスで、「震災から1年半を経ての心のケア」と題したプレスセミナーが開催された。
セミナーを主催した塩野義製薬は、2012年8月、全国の医療従事者を対象に、震災から1年を経た現在およびこれからの被災者に必要な心のケアについてまとめた「震災から1年を経ての心のケア」を発行した。今回のセミナーでは、このハンドブックの監修にあたった福島県立医科大学会津医療センター準備室教授の丹羽真一氏と神戸赤十字病院心療内科部長の村上典子氏が、講演を行った。
連載2回の1回目は、福島県で震災直後から、被災者のメンタルケアの最前線に立ち治療に当たっている丹羽氏の講演から、福島県の被災者に見られる精神的な傷の特徴やその背景、さらにケア体制やその留意点などについて紹介する。
(取材:21世紀医療フォーラム取材班 赤堀たか子 文責:日経BP社 21世紀医療フォーラム事務局 エグゼクティブ・プロデューサー 阪田英也)

【講演者】
丹羽真一氏 福島県立医科大学会津医療センター準備室(精神医学)教授
村上典子氏 神戸赤十字病院心療内科部長

「震災から1年半を経ての心のケア」プレスセミナー

心の回復が遅れる福島

まず、福島県立医科大学会津医療センター準備室(精神医学)教授の丹羽真一氏が、「震災からの復興と原発問題を抱える福島県と県外移住者における心のケア」をテーマに講演。福島県で被災者のメンタルケアに取り組み、震災直後から被災者を間近に見てきた丹羽氏によれば、福島の被災者の心の回復は遅れているという。

一般に、被災者の心は、災害直後の一過性高揚期の後、幻滅期を経て回復していく。阪神淡路大震災では、1年後に被災前の安定レベルに近づいたが、東日本大震災の場合、震災の規模の大きさから、阪神淡路に比べて回復が遅れており、なかでも福島は、宮城・岩手と比べても回復が遅れている。

福島の被災者の心の回復が遅れている理由の1つは、避難生活が長引いている点だ。
地震や津波による家屋や生活インフラの崩壊に加え、原発事故による放射能汚染により、自宅に帰れない状況が続いており、それが心の問題を引き起こす原因になっていると丹羽氏は指摘する。

原発事故で計画的避難区域となり、住民の大半が県内外で避難生活を送っている飯館村は、2011年12月に村民を対象にアンケート調査を実施した。その結果、回答者の半数が、同居家族が別々に暮らしており、34.7%が「収入が以前の半分以上減った」と回答している。また、健康面でも、60%が、「自分や家族の健康状態が悪くなった」と回答し、約40%が、「イライラすることが増えた」と回答している。警戒区域に該当する楢葉町でも同様の調査を実施したが、これと似た結果が出ているという。

長引く避難で、経済的な自立のメドも立たず、家族が離れ離れで暮らしていかなければいけない状況もあり、心身の不調を訴える人が増えている様子がうかがえる。福島県と福島医大が被災者を対象に実施した県民健康管理調査では、子どもの問題行動やうつの症状を示す数値が高かったという。

計画的避難区域となり住民の大半が県内外で避難生活を送る飯館村の住民対象調査
図-1 計画的避難区域となり住民の大半が県内外で避難生活を送る飯館村の住民対象調査(クリックすると拡大します)