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身体と行動からアプローチ~うつの改善法は認知の修正だけではない

2012.09.04   東邦大学医療センター佐倉病院 メンタルへルスクリニック臨床心理士 浅海敬子氏

東邦大学医療センター佐倉病院 メンタルヘルスクリニックの臨床心理士である浅海敬子氏に、認知行動療法について5回にわたり連載していただく3回目の記事をお届けする。

浅海敬子氏
浅海敬子 氏
早稲田大学卒業、商社および文部省外郭団体職員を経て、横浜国立大学研究科・教育心理学修士課程修了。臨床心理士.総合病院精神科での心理療法を基本としつつ、スクールカウンセラー、企業EAPなどを兼務。現在、東邦大学医療センター佐倉病院 メンタルへルスクリニック臨床心理士、東邦大学理学部講師、「心の相談室 Q’s Office」主宰。

認知行動療法というと、認知の修正・改変を図るという方法が強調されがちですが、他にも大事なアプローチがあります。

No.2でご紹介した4領域図でみるように、心を揺らす出来事に会った場合に、まずどのように認知するかで、その後に引き起こされる気分・身体状態・行動などが決まります。そして、そこで引き起こされた認知・気分・身体・行動は「相互循環的に影響し合って」、さらにその流れを増幅させていきます。その相互循環的な特徴を利用していくと、認知を変えるという方法の他にも、気分・身体・行動のいずれかを変えていくことで、その流れを変化させることができます。

特に身体面へのアプローチと行動面のアプローチは効果的です。気分を直接的に変えるというと、例えば、明るく楽しい音楽や絵、イメージを利用することもできますが、気分の問題が大きくなっている場合にはなかなか難しいものです。従って、むしろ直接的に気分を変えるのではなく、心と身体の強い関連(=心身相関)を利用して、身体からのアプローチを図る方法がより有効だといえます。

身体面からのアプローチ:心身セルフコントロール法

1. 心身相関を利用して、身体の緊張を緩めることで、心身をリラックスさせる
2. 呼吸法による自律神経のコントロールで、心身をリラックスさせる
3. 安定した体軸づくりにより、心身の安定化を図る
4. イメージを利用する簡便自律訓練法で、心身をリラックスさせる

①心身相関利用
前回、認知を巡る4領域でもご紹介しましたが、心と身体はとても強く結びついています。心にストレスを感じて不安・緊張状態になると、すぐに身体も緊張します。そうなれと、心も不安・緊張状態になります。反対に、身体の緊張をほぐし緩めると、心の不安・緊張状態も緩みます。

うつ状態の場合も、心に強いストレスを感じて不安・緊張状態が引き起こされ、それが慢性的に続いているため、身体も慢性的な緊張が増すばかりになっています。このように心身がリラックスできないまま日々を過ごしていると、些細な出来事にもストレスを感じやすく、質の良い睡眠がとれなくなり、うつ気分の悪循環からなかなか抜け出せません。身体の慢性的なコリを軽減することは、私たちが感じている以上に大切です。

身体の緊張、つまりコリや時には痛みを伴っている状態をほぐし・緩める方法はたくさんあります。例えば、首回しや肩回し、入浴、マッサージなどもその一つです。ここでは簡単で効果的な方法をご紹介します。

【持続的ストレッチ法】
コリを感じる部分を、痛気持ちいい程度にストレッチし、20秒~40秒持続させます。凝っている部分が、ジワーッと緩んでいくのを味わうように行うと効果的です。

【筋弛緩法】
コリを感じる部位にギューッと力を入れ、数秒維持してから力を抜きます。力を抜いた後に数秒間、その部分がどのように変化していくかをじっくり自己観察して味わいます。同じ部位で3回~5回行います。力を入れるときは70%くらいの力で十分です。力を入れる時と抜く時、ゆっくりと行うとより効果的です。