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うつ病に、なぜ認知行動療法が効果的なのか

2012.06.26   東邦大学医療センター佐倉病院 メンタルへルスクリニック臨床心理士 浅海敬子氏

本コーナーの1回目に取り上げるのは、うつ病治療に用いられ、近年注目が集まる「認知行動療法」。東邦大学医療センター佐倉病院 メンタルヘルスクリニックの臨床心理士である浅海敬子氏に、認知行動療法について5回にわたり連載していただく。

浅海敬子氏
浅海敬子 氏
早稲田大学卒業、商社および文部省外郭団体職員を経て、横浜国立大学研究科・教育心理学修士課程修了。臨床心理士.総合病院精神科での心理療法を基本としつつ、スクールカウンセラー、企業EAPなどを兼務。現在、東邦大学医療センター佐倉病院 メンタルへルスクリニック臨床心理士、東邦大学理学部講師、「心の相談室 Q’s Office」主宰。

うつ病の治療時に忘れてならない
「再発予防」

近年職場において問題になっている「うつ病」が、働く人にとって辛いのは、それが休業や休職に結びつきやすいことと、復職後も再発や欠勤を繰り返すことが稀ではないという点です。したがってうつ病治療には、症状の改善と同時に、「再発を予防」するための対応も実施することが大切です。

身体に生活習慣病があるように、うつ病を“心の生活習慣病”のように捉えるとイメージしやすいかもしれません。体質や生活環境における複合的要因のほかに、長年かかって作られてきた、その人の考え方や捉え方(認知)と、心・身体・行動のパターンがうつ病に罹りやすくさせる、という要因も多いようです。

身体の生活習慣病の回復と再発予防には、薬と生活スタイル全般の改善が重要であるように、うつ病においても、薬と「考え方」「心」「身体」「行動」パターンの修正・改善が同時に重要です。これは近年の多くのうつ病研究でも明らかになっていて、うつ病の回復には「認知行動療法」が有効であり、さらに薬物だけで治療した場合に比べ、認知行動療法を併用した方が、症状の改善と再発予防に効果的であると認められています。

認知行動療法は、どう役立つのか

次に、「認知行動療法」がどのように活かされるのか、うつ病から回復して復職する場面で考えてみましょう。うつ病になったきっかけが仕事のプレッシャーだった場合、薬で元気を取り戻しても、職場で待ち受ける仕事の山と苦しく辛い日々の記憶と、さらに周囲から孤立していた不安と心細さが思い出されて、実際の復職にはなかなか踏み出せないことがよくあります。

うつ病を引き起こしやすい要因が何も変わっていない状況での復職は、本人も不安になり、また不調を引き起こしかねません。認知行動療法では、例えば、きっかけとなった「出来事を整理」し、「発症のからくりを探し」ていき、「考え方・心と身体・行動をどう改善したらいいか」を、私たち医療スタッフと共に考え、試していきます。これに加え、職場に環境調整をお願いするケースもあります。

そうなれば、「職場でどんなふうにやれそうか」「どんな点を工夫したり、気をつけたらいいか」など、自分自身で具体的に思い浮かべられるようになります。つまり、自分の「改善点」が具体的になってきて、それに必要な準備が進められ、自分の中で復職の見通しを持てるようになります。また、この改善が同時に再発予防にも重要なポイントとなる点も見逃せません。