トップページリワーク医療機関に聞くEAPの普及は、まさにこれからが本番
Good Doctor NET AGING Web 宇治おうばく病院 うつ病~こころとからだ 話してみよう うつの痛み うつ病・認知症コンソーシアム 冊子バナー 特別協賛:シオノギ製薬 ココ朗くん

EAPの普及は、まさにこれからが本番

2012.02.14   財団法人淳風会 健康管理センター メンタルサポートセンター課長 入交洋彦 氏

入交洋彦 氏
入交洋彦(いりまじり・ひろひこ)氏
1999年、広島大学総合科学部卒。民間企業に勤務し、産業カウンセラー資格取得。2005年、広島大学大学院教育学研究科心理学講座修了。以降、財団法人淳風会メンタルサポートセンター勤務。臨床心理士、シニア産業カウンセラー、日本産業ストレス学会評議員。

労働者の安全と健康の確保が重要な課題となっている。改正労働安全衛生法では、過重労働やメンタルヘルスへの対策が盛り込まれた。こうした流れを受けて、その対応をEAP機関やメンタルヘルス支援事業者などに外部委託する企業が増えている。日本でEAPが普及し始めてから10年以上が経ち、いま業界には新たな動きが起こりつつある。今回は地方都市、岡山でEAPの普及に努める財団法人淳風会 健康管理センター メンタルサポートセンター課長の入交洋彦氏に、その現状と今後の展望を聞いた。
(取材:21世紀医療フォーラム取材班 竹林篤実 文責:日経BP社日経BPnet編集プロデューサー 阪田英也)

大都市とは異なる地方都市の状況

はじめに岡山の地域特性について教えてください。

入交 岡山には水島コンビナートがあり、製造業を中心とした産業集積が進んでいます。鉄鋼業や自動車産業など大手企業の製造拠点が数多くあり、その周囲には関連会社の工場などが集まっています。また関西、九州、四国、山陰の東西南北の結節点という利便性もあり、県西部から東部の広い地域に工業団地や物流センターができています。

製造業のメンタルヘルス関連では、確か「川鉄事件」の舞台が岡山でしたね。

入交 事件が起こったのは1991年でした。うつ病で自殺した方の家族が企業を訴えて2000年に結審し、判決は企業側の全面敗訴に終わっています。この裁判は全国的なニュースにもなり、企業に相当大きなインパクトを与えたのではないでしょうか。判決をキッカケに企業側の認識が変わり始めたように思います。メンタルヘルスの不調者を出し、万が一のことがあった場合には、企業が責任を問われるという認識が広まりました。

98年に自殺者が3万人を超えたことも、企業の意識改革を加速させていますね。

入交 もちろん自殺者のすべてがうつ病患者というわけではありません。ただ、自殺者が増加し、メンタルヘルスへの関心がより高まったことは間違いない事実です。その結果が、厚生労働省が2000年に出した「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」や2006年の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に集約されていると考えています。

全国的に精神科を受診する患者が急増しているといわれますが、岡山でも目立った変化がありますか。

入交 一般には、この10年間で受診者が3倍ぐらいに増えた、100万人を超えたといわれています。岡山でも精神科を標榜するクリニックが増えるなど、増加傾向といえると思います。ただ、東京などの都市圏では精神科を受診することに対する心理的ハードルが下がっていると聞きますが、こちらではまだ精神科に対する心理的抵抗感は根強いものがあります。特に年配の方などは受診を勧めても、ためらう方が多いようです。