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EAPが不要となる社会を目指す

2011.12.20   株式会社ジャパンEAPシステムズ 取締役副社長 松本桂樹 氏

松本桂樹 氏
松本桂樹(まつもと・けいき)氏
東京学芸大学大学院教育学研究科修了、臨床心理士、精神保健福祉士、シニア産業カウンセラー、2級キャリア・コンサルティング技能士。精神科クリニックで臨床心理士として勤務後、株式会社ジャパンEAPシステムズ入社。早稲田大学、お茶の水女子大学、法政大学大学院兼任講師などを務める。著書に『電車に乗れない人たち』『理解不能な部下とうまくつきあうコツ』『メンタルリスク不全の企業リスク』『部下が病気にならないできる上司の技術』など多数。

労働者の安全と健康の確保が重要な課題となっている。改正労働安全衛生法では、過重労働やメンタルヘルスへの対策が盛り込まれた。こうした流れを受けて、その対応をEAP機関やメンタルヘルス支援事業者などに外部委託する企業が増えている。日本でEAPが普及し始めてから10年以上が経ち、いま業界には新たな動きが起こりつつある。EAPの最前線で活躍する第一人者である株式会社ジャパンEAPシステムズ取締役副社長の松本桂樹氏に、その現状と今後の展望を聞いた。
(取材:21世紀医療フォーラム取材班 竹林篤実 文責:日経BP社日経BPnet編集プロデューサー 阪田英也)

「つなぐ」ことがEAPの役割

アルコール依存症の立ち直り支援がスタートだと伺いました。

松本 1980年代に母体である医療法人翠会が、日本初の民間アルコール専門病棟を立ち上げました。成増厚生病院アルコール病棟で、これが後に東京アルコール医療総合センターとなります。

アルコール依存症への支援といえば、アメリカで始まったEAPの原点ですね。

松本 はい。当社の社長を務める新貝がアメリカ留学中にEAPと出会いました。これがそもそものキッカケになっています。アルコール依存症患者の問題は、病院に行きたがらないことです。そこで必要となるのが、患者が勤める企業と病院をつなぐこと。ところが企業と連携して施策を進めるには、医療関連の法規制がネックになります。これを解消するために企業のアルコール問題対策をテーマとするEAPの合同研究会を作りました。

その研究会が今の御社につながっているわけですか。

松本 1993年に設立された有限会社ジャパンEAPシステムズにつながります。社名にEAPを取り入れたのは、当社が日本初だったはずです。EAPの目的は企業のパフォーマンス向上にあり、一方、精神科病院の目的はあくまでも患者の治療です。治療を進めながらパフォーマンスを高める点で、私たちのような組織が企業と医療機関の間に入る意義が生まれます。

図-1 EAP(従業員援助プログラム)がカバーする範囲
図-1 EAP(従業員援助プログラム)がカバーする範囲 (クリックすると拡大します)

90年代は、まだ日本でEAPという言葉自体があまり知られていなかった時代です。設立当初は企業に話をしに行っても受け入れられなかったのではありませんか。

松本 「メンタルヘルス」という用語自体も今のように普及していなかったものの、問題は確実に顕在化しつつありました。2000年に厚労省が「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」を出しましたが、これは5カ年計画で行われた労働者のメンタルヘルスに関する研究に基づいて作られています。既に93年頃には、自殺問題などに対する危機感は高まっていました。

アルコール依存症とうつには何らかの関連があるのでしょうか。

松本 うつ病問題の表面にアルコール依存症が出てくることはあまりありませんが、背景に大量飲酒の問題が潜んでいることは多いと言えます。特に管理職でうつ病になっている人は、お酒の問題も抱えているケースが多々あります。