トップページインタビューうつ病の寛解には「配偶者」の理解が、リワーク成功には「上司」の理解が、最大のカギになる。
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うつ病の寛解には「配偶者」の理解が、リワーク成功には「上司」の理解が、最大のカギになる。

2011.10.18   関西医科大学医学部 精神神経科学講座 教授 木下利彦 氏

木下利彦(きのした・としひこ)氏
1981年、関西医科大学卒業。関西医科大学精神神経科研究医員。1982年、関西医科大学大学院 医学研究科博士課程(精神神経科学専攻)入学。1987年、精神衛生鑑定医(厚生省)指定。1988年、精神保健法指定医(厚生省)指定(精神衛生鑑定医から移行)。1990年、医学博士号取得。1991年、米国・HZI Research Center留学。1993年、スイス・チューリッヒ大学神経科留学。1994年、臨床修練指導医(厚生省)指定、関西医科大学精神神経科講師を経て、1997年より現職。

地域の基幹病院であると同時に、先端医療の研究や教育機関としての役割も担う大学病院精神科。急増する非定型うつ病とその治療法、新たな問題として浮かび上がる子どものうつ病、そして、精神科医を目指す学生教育のあり方など、大学病院精神科が向かう方向とはどこなのか。 
関西医科大学附属滝井病院では、2010年4月より、関西医科大学精神神経学教室の主導で週3日のうつ病専門外来を開設し、リワーク・プログラムの導入も始めた。近年、精神科に対する偏見が軽減した一方で、透明性の高すぎる社会や若者の未熟さなどから、人格障害や難治性患者が増加している状況に、「それだけ社会が傷ついている証拠」と述べるのは、同大学医学部精神神経科学講座教授の木下利彦氏である。
「リワーク最大のポイントは本人と、本人を含む家族、上司」と言う木下氏に、今のうつ病患者やその問題点、医療者としての課題などについて伺った。
(取材:日経BP社日経BPnet編集プロデューサー 阪田英也 構成:「Good Doctor NET」、WEB「メンタルヘルスとリワーク」編集デスク 但本結子)

非定型うつ病を見分けるポイントは
「年齢」と「未熟さ」、「自己への甘さ」

従来のうつ病とはタイプが異なる患者の出現が社会的に問題となっています。これら新しいタイプとされるうつ病について、木下先生はどのようにお考えですか。

木下 当院のうつ病専門外来でも20代~30代前半で、自らうつ病という病名を告げる人が増えています。当初は“ニセうつ”程度に考えていましたが、最近の流れからすると中核群ではないが、「辺縁群」であろうと捉えています。そのあたりは、自治医科大学精神医学教室の加藤敏教授が「職場密着型」など、うつ病をいろいろなネーミングやカテゴライズで表現されていますから、先生の話を聞かれると面白いでしょう。

彼らは病気でありたい、病気と診断して欲しいわけです。なぜなら、自分にも周囲にも“仕事がしたくない”、そのエクスキューズができるからです。私は彼らに「病気という意識を強く持たないように」と、診察中に話しますが、ちょっと頑張ったら“自分にご褒美”などと、上等な時計を買ったりする時代ですからね。

辺縁群について、もう少し詳しくお聞かせください。

木下 中核群とは認知行動療法や治療の仕方が異なります。中核群であれば薬物と休養がメインで端的に言うと、励ましてはいけないとされていますが、辺縁群の患者は励ましてやる方がいい。それが一番大きな違いです。

どんな患者であっても、初めから辺縁群だろうと決めつけることはしませんが、患者が医療機関に丸投げしに来てもダメだし、薬は全てを解決するものでありません。私は治療に際して、2つの事を伝えています。1つは、主役は“あなた”で、あなたが先頭に立って切り開いていく。そうしなければ、なかなかこの状態から抜け出せないこと。そしてもう1つが、私たちはこういうやり方で診療を進めていくけれど、賛成できるなら来なさいということ。初診で不信がっているケースは、ここで一旦診療を終わらせ、2週間後に予約を入れておきます。つまり、その間によく考えて、私たちの方針に賛同するなら通院しなさいということです。